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読書の記録(33)『ぼくのなかみは なにでできてるのか』 かさいまり 作 おとないちあき 絵 金の星社

手にしたきっかけ

児童書のコーナーで見かけて気になっていた。
物憂げな少年の表情と『ぼくのなかみは なにで できているのか』というタイトル。
哲学っぽいんだろうか?と思った。

心に残ったところ

ぼくとやすくんは似ている。少しのんびりしていることろも、からかわれやすいところも。

この「からかい」がやっかい。いじめ?いじり?悪意があるかどうかでも変わってくるし、受ける本人の受け止め方、かわし方、流し方によっても意味が変わってくる。テレビの中でも「いじり芸」は存在するし、大人だって自分を下げたり、誰かを下げたりして笑いを取ることもある。「ジャイアン」と「のび太」みたいな関係も昔からあるし…。

泣きそうになる場面がいくつもあった。とくに「4 ぼくの中身」のところ。お母さんの気持ちも、はるとの気持ちも、痛いほど伝わってくる。私も2人の男の子の親なので、キューッと切なくなった。

お母さんの愛情がはるとには十分伝わった。はるとはお母さんにまるごと受け止めてもらうことで、自分で行動していける。

お母さんだけじゃなく他の人からの愛情で自己肯定感を育んでいく子もいる。誰かに見ててもらう、認めてもらうって、本当に大事。そういった見守る側の大人の一人でありたいと思う。

登場する子どもたちの目。強くて芯がある感じもいいなあと思った。奥付を見て、子どもたちに人気の『鬼遊び』シリーズのおとないちあきさんだとわかって、納得。

まとめ

自分の良さを見つけられなかったり、自己肯定感が下がってしまった子に、ぜひ読んでほしい。自信が持てずにいる子にもそっとおすすめしたい。大人から読まされるイイ話(道徳に使えそうな感じもする)と構えて読むのではなく、単純に一人の男の子の成長物語として読んでほしいなあと思う。


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