機械式と過ごす-3 [時代と人を渡るカメラ]
機械式カメラの中には、私よりうんと年を経たものが珍しくない。
しまい込んでいると、存外にカメラはだめになってしまうから、
今日に現役の彼らはきっと、そこそこに誰かの手を渡ってきたに違いない。
時に彼らは付属品とともに人の手を渡り歩くが、
例えば革のケースには誰かの名前があったりする。
全く同じカメラでもって、同じ撮影の感触を伴う
見知らぬ人の時間が、
過去に流れていた痕跡である。
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写真はKodak Signet 35。
1951年に発売