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幕府でも海でもない!?「じゃない」探訪~鎌倉編~

はじめに

 皆さま初めまして。妄想フォレストtravelのプニルです。

 突然ですが、鎌倉を訪れたことはありますか?
 たくさんのお店が立ち並ぶ通りがあって、相模湾を背景に芸能人が生しらす丼を食べていて、漫画やアニメでよく見る踏切があって…
 はたまた、遠足の事前学習で「源頼朝が幕府を開いた!」「寺社仏閣!」なんて手書きのしおりに書き込んで…
 そんな、1000年以上の歴史が根付く街「鎌倉」を今回は私たち、妄想フォレストがご案内します!



鎌倉の玄関口といえば

 東京都心から鎌倉へ向かうなら、手っ取り早いのはJRを利用するルート。
というわけで、我々取材班もJR横須賀線に揺られ鎌倉入りすることに。
 人とモノのうごめく大都会東京から多摩川を超え、実は東西にめちゃくちゃ大きい川崎市を超え、駅の作りからしてなんかオシャレな横浜駅を超え…と、色々なものを1時間弱ですっ飛ばしてくれる電車に揺られ、たどり着いたのは大船駅。鎌倉の玄関口ですね。
 …鎌倉の玄関口は鎌倉駅では?

大船駅笠間口にて

               !?
 お気づきでしょうか。そう、横浜。改札を出てたどり着いたのはまだ横浜市栄区なのです。
いやいや、我々は鎌倉に来たのでは?

 実は地図で見ると、大船駅の主な出入口である東口は鎌倉市なのですが、笠間口だけなぜかガッツリ横浜市。駅の所在地は駅長室が基準らしく、大船駅はれっきとした鎌倉市の駅。でも笠間口は横浜…既によくわからなくなってきました。そもそも街並みが「鎌倉」感なくない…?こういう駅前よくありますよね。どこいった鎌倉。


実は広かった鎌倉

 駅からして違和感バリバリですが、歴史を紐解くと面白い事実が見えてきました。
 今でこそ鎌倉(市)は鎌倉駅を中心としたエリアですが、以前はこれに加えて横浜市の栄区や戸塚区など、結構な範囲が「鎌倉郡」だったとのこと。
 …ということは、戸塚駅を出て「よーしそろそろ鎌倉だぞ!」なんて取材班が意気込んでいたあの車内も、実はもう鎌倉だったということ!?

ざっくり鎌倉郡域。広すぎる(地図:三角形さま)

 今でこそ横浜市域はかなり広いですが、実は鎌倉郡もめちゃくちゃ広かったんですね。大船駅笠間口も元は鎌倉(郡)…!

観光客皆無、でも鎌倉市随一の商店街「仲通り」

 鎌倉の広さに圧倒されつつ、さっそく大船駅東口を探索。
大船も同じ鎌倉だし小町通り的な感じでしょ!食べ歩きしよ~…

仲通商店会

             あれっ観光客がいない…
 鎌倉といえば観光客、観光客といえばワイワイ食べ歩きをしたり、写真を撮ったり、お土産を物色したり…
 いっぽう、大船駅前の仲通は活気のある商店がズラリと並び、おそらくたぶんほぼ確実にジモティーの買い物客が行き交ってます。

 観光客がお土産やグルメを楽しむ小町通りと、地元民が買い物を楽しむ仲通。まったく別の街に見えますが同じ鎌倉。
 
 観光!景観!お土産!な鎌倉と、「じゃない」鎌倉。このコントラストがたまりません。
 ちなみに大船の商店会、どこも大盛況なうえに、土地柄か海鮮は新鮮、野菜や果物も旬のものがズラリで、筆者も柑橘を買い込んだのでした。

魚介類がズラリ
青果もズラリ

 巨大商業施設が1軒あれば、買い物諸々の用はとりあえず済みます。でも、飲食店からアミューズメント施設まで、それぞれ独立した店舗がキュッと集まった大船は、店舗をめぐる楽しみや個性を感じさせてくれます。でも、それだけじゃないんですよね…(すごいな大船)

あの大仏様より存在感?鎌倉を見守る巨大な「像」

 鎌倉にある、仏教に関連する巨大な「像」といえば?
そう聞かれて、「あの大仏でしょ?」と思ったそこのあなた。有名ですよね、うん。筆者も遠足で行きました。
では、実は鎌倉に大仏「じゃない」巨大な像があるのをご存じですか?
 

像の近影

 その像があるのもまたまた大船。すごいな大船(2回目)
実は大船駅から普通に見えます。しかも徒歩5分でアクセス超いいです。でも行ったことないですよね。なぜなら観光客は大船で降りないで鎌倉駅まで行くから。実にもったいない
 観音様があるのは曹洞宗の「大船観音寺」。駅からだとお寺はよく見えない…ということで、お参りしてみました。

静かに街を見守る観音様

大船観音の参道

東側の仲通の喧騒とは打って変わって、西側にある大船観音寺への参道はとても静か。赤いパイロンにさりげなくお地蔵様がいます。

境内

 境内はこんな感じ。ちなみにこれ、休日の午前11時です。
今頃あの大仏は観光客でごった返してます。みんな大船に来い。

ご本尊

 そしてご本尊。で、デカい…!
公式HPによると、下半身はありませんが全長25メートルあります。ちなみにあの大仏は台座抜きで全長11.312メートルとのこと。倍以上じゃん…

実は新しい大船のシンボル


 何百年も鎮座なさっているのかと思いきや、完成は昭和35年(1960年)と結構新しめ。昭和4年に建設工事が始まりましたが5年後に中断。戦後、再び工事が始まって完成に至ったそうです。それから半世紀以上、山の上から大船の街を見守ってくださっているんですね。
 なんと胎内巡りも可能です。背中側から中に入れます。中の様子は…ぜひ直接皆さんの目で確かめてみてください。
 ちなみに下半身が地中に埋まっているんじゃないかという都市伝説もあります。確かにそんな気がする…

観音様は今日も大船の街を見守る

 ご覧のとおり、観音様は大船駅の西側のどこからでもお目にかかれます。もちろん駅のホームからも。大船に降りる方も、降りない方も、お越しの際はぜひ駅の西側を見て手を合わせてみてはいかがでしょうか。

海鮮”じゃない”グルメを楽しむの巻


 観光の楽しみといえば食とショッピング(筆者調べ)。
というわけで、観光地鎌倉で昼食といたしましょう。鎌倉といえば海、鎌倉の海といえばしらす丼かな?

どこだここは!!
 やってきたのは鎌倉駅の一つ手前、北鎌倉駅。山の中です。海は?
鎌倉駅とだいぶ雰囲気が違いますが、円覚寺をはじめとした鎌倉時代からある寺院が集まり、旅番組でもときどき紹介されています。
大船より鎌倉感が強まってきたものの、まだまだ「ここどこ」感が…
(駅もだいぶシブいし)

北鎌倉の古民家エリア

 
なぜ北鎌倉へ降り立ったかというと、実は北鎌倉、昔ながらの建物を改装したカフェや飲食店が立ち並ぶオシャレエリア。でも電車の車窓から見えるのは店舗の裏側だけ。何も知らない人は「もうすぐ鎌倉だ~!!」などと電車で素通りしていくわけです。まあそりゃそうですよね。

昔ながらの建物を利用した「狸穴cafe」

 今回取材班が訪れたのは、そんな昔ながらの建物をリノベーションした「狸穴cafe」。

趣のある店内(1F)

 入口のカウンターで注文を済ませてから入店。細長い造りの建物で、こざっぱりした1Fとアンティーク家具が並ぶ2Fがあります。
 ここで注文したのが…

ブルゴーニュ風ビーフシチュー
キーマカレー

 海鮮じゃない!!鎌倉なのに!! ※大丈夫、とりあえず落ち着け
フードメニューは洋食、ドリンクはコーヒーやクリームソーダなど、どれも心惹かれるものばかり。
 キーマカレーは程よい辛さと野菜の甘みが絶妙でした。むしろ鎌倉でおいしい洋食が食べられることに感動です。
 シチューはさすがブルゴーニュの名を冠するだけあって、赤ワインの風味が効いた深みのある味わい。牛肉は口に含んだ瞬間、溶ける溶ける…。

 鎌倉といえば生しらす丼…はガイドブック。実は海鮮に限らない鎌倉の味覚があります。むしろかまくらでおいしい洋食が食べられることに感動です。北鎌倉の新時代が到来したと確信した今日このごろ。ほかのお店も行ってみたいぞ…
 と、北鎌倉に胃袋をつかまれた取材班。まだまだ北鎌倉を探索します。
 

鎌倉で登山!?「鎌倉アルプス」と呼ばれる山道を往く

 源頼朝が鎌倉で幕府を開いた理由として、山と海に囲まれた地形が関係しているというのは有名です。今でこそ電車ですぐ鎌倉入りできますが…。
 海は皆さん行きますよね。あの踏切とか。でも山は行かないですよね。山と海があるのになぜ山に行かない!?
そんな鎌倉を囲む山々、実は歩けるんですよ…。

天園ハイキングコースの入口、北鎌倉の建長寺

鎌倉を囲む山脈を歩く山道、通称「天園ハイキングコース」。
コースの入口は北鎌倉を代表する寺院の一つ、建長寺の中。鎌倉時代、北条時頼によって創建され、臨済宗建長寺派の大本山としても知られる寺院です。
 境内を進み、お参りを済ませてさらに奥へ進んでいくと…

山道!?

おかしい。さっきまで参道を進んでいたのに、気が付いたら山道へ…?
シャレはともかく、急に登り階段が始まります。ちなみに人はほぼいません。
建長寺に来る人の9割はこっち来ません。そりゃそうですよね。

本日初の海!!

 先ほどの階段を最後まで登ると、建長寺の鎮守「半僧坊大権現」を祀るお堂「半僧坊」に到着します。すぐ横に「相模湾見晴台」があり、なんと山の向こうに海が見えます。やっとだ!
 
結構な時間、鎌倉を探索してきましたが、ガイドブック片手に探索すればすぐに見えるはずの海がようやく、ようやく見えました。圧巻です。

富士山も見えます

 そしてなんと、富士山も見えます。よくばりセットじゃん…

上には上が


でも、まだまだ登っていきます。地図で見ると結構距離あるけど、まあさっきから階段で歩きやすい道だしイケるでしょ。

完全に山道

 イケませんでした。これ鎌倉ですよ…
「ハイキングコース」だけど階段で歩きやすいんだろうな~なんていう考えは甘く、むしろ登山です。我々は1000年前にタイムスリップしたのか?山伏か?
 
しかしここで諦めたら試合探索終了。この先にある鎌倉を開拓すべく、(こんなはずじゃなかったと思いながら)うっそうとした山道を進みます。

古代の墳墓「やぐら」

 道中には古代のお墓がいたるところに。平地が少ない鎌倉で、故人の供養のため工夫して造られた結果このような形になりました。

急すぎてロープがある

 そのままでは通れないのでロープを伝う箇所もあります。

 信じられませんがここ鎌倉です。何ならコースのすぐ横に住宅街があります。公園から子どもの遊び声も聞こえてきます。

鎌倉最高地点到達

鎌倉市最高地点

 ひたすらコースを登っていくと、「大平山」と書かれた看板が見えてきました。ここが鎌倉市の最高地点とのこと。

横浜方面を望む。ランドマークタワーが見える。

 鎌倉市の頂からは横浜方面、遙かには東京スカイツリーを望む絶好のロケーション。

海!

 ちょっと横を向くとなんと東京湾まで。なんと贅沢なことか。

 建長寺から少し足を伸ばせば海も山も街も見えること、ご存じでしたか?
ぜひご自身の目で楽しんでみてください!

鎌倉民が集う「ウラエキ」

 絶景の天園ハイキングコースを降りると、そこはいよいよ誰もが知る鎌倉の中心地。鎌倉宮から街道を抜け、鶴岡八幡宮を横切って小町通りへ。そして鎌倉駅へ。テンションあがるなぁ~↑↑

おや?雰囲気が…

 …なんだか街並みが違うような?
実は今いるのは小町通り「じゃない」側の鎌倉駅。おなじみ東口から駅を挟んで反対側、通称「ウラエキ(裏駅)」と呼ばれるエリア。住所でいうと「御成町」、生粋の鎌倉民はどちらかというとウラエキ側に集います。
 ウラエキには飲食店があったり雑貨店があったりと、家が近かったらうれしい感じ。せっかくなので少しだけ歩いてみます。

漫画家・横山隆一氏の邸宅跡に建つスターバックス

 鎌倉にマッチした佇まいのこのお店、実はおなじみスターバックス。店内はもちろん、庭に面したテラス席からは四季折々の草花を楽しめるとのこと。次は昼間に来よう。

レーズンウィッチで有名な「鎌倉小川軒」

 鎌倉土産として、そして地元でも長年愛されているレーズンウィッチが有名な「鎌倉小川軒」本店があるのもここウラエキ。

 見てのとおり、ハデなお土産屋やいかにもなお店はありませんが、興味深いお店やスポットが実はけっこうあります。
 初鎌倉は小町通りで、2回目以降はウラエキも探索してみると新たな発見がありそうです。次は昼間に行きたい。



「じゃない」鎌倉にも魅力いっぱい

 今回ご紹介したスポットはどれも、遠足やガイドブック片手の小旅行ではまず行かないものばかり。本当に鎌倉かというスポットしかなかった…という方もいるかもしれませんが、これらも全て鎌倉です。
 いつもと違う景色が見たいあなた。ぜひ、次に鎌倉に行く機会があれば、「じゃない」鎌倉を体験してみてはいかがでしょうか。


(文:プニル 写真:ほきあ、プニル)


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