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タマビ講義#03 自分たちらしく、イキイキと働ける環境を作る 「愛される会社のデザインとは?」講師:石川俊祐

変化の激しい時代(VUCA)の中で大切なのは、主体的に自分らしく働けること。多くの人々がそうなれるように、社員たちから愛される会社・文化をデザインするのがカルチャーデザインの取り組みである、といった講義でした。

アーカイブは下記から見られます。

今日のキーワード

  • 愛される会社

  • カルチャーデザイン

  • デザイン思考

  • やさしさが巡る経済

  • 違和感→主観→問い


前回の講義レポート


今回の講師はKESIKI パートナーの石川俊祐さんです

石川 俊祐  多摩美術大学特任准教授 日本を代表する「デザイン思考」実践者。企業のブランディング、組織デザイン、教育プログラムの開発から新規事業創出まで、数々のイノベーションプロジェクトを主導する。茨城県生まれ。ロンドン芸術大学Central St. Martins卒業後、Panasonic Design Companyでプロダクトデザイナーとしてキャリアをスタート。英PDD Innovations UKのCreative Leadを経て、IDEO Tokyoの立ち上げに従事。2018年よりBCG Digital VenturesにてHead of Design/Strategic Design Directorとして大企業社内ベンチャー立ち上げに注力したのち、2019年、九法崇雄、内倉潤とともにKESIKI設立。現在、多摩美術大学クリエイティブリーダーシッププログラム特任准教授・プログラムディレクター、CCC、NTT com、aperza、XZなど大企業からスタートアップなど複数社のアドバイザーに従事、 D&ADやGOOD DESIGN AWARD、山形エクセレンスデザイン、いばらきデザインセレクションの審査委員を兼任するほか、数々のセミナー、カンファレンスにてキーノートや講師を務めた実績を持つ。Forbes JAPAN世界で影響力のあるデザイナー39名に選出。著書に『HELLO, DESIGN 日本人とデザイン』。

JDN webより
太字部筆者

具体的なモノづくりというよりも、モノを作る際の過程や会社そのもののデザインをされている方です。イギリスで工業デザインを学ぶ→日本のメーカーでモノづくりをする→イギリスに戻ってデザインコンサルティングファームに勤める……といった経歴を経て、今はデザインファーム「KESIKI INC.」を共同で立ち上げて活動されています。

わかりやすい制作物としては↓のようなものがあります。

今回は、 01 今の時代においてデザインに何ができるか、02 愛される会社のカルチャーをデザインする、03 KESIKI INC. による実験と実践 といった流れで講義が進みます。


01 今の時代においてデザインに何ができるか

現代は「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態(VUCA)」といわれます。働く人々にとっても、自分が何のために働いているのか、目の前の仕事やモノづくりが何になるのかがわかりづらくなっています。

自分がクリエイティブに仕事ができているかどうかを問われても、そう思えない人が多いという調査もあります。

そんな今の時代に注目されているのが、デザイン思考です。複雑な問題と向き合ってモヤモヤする中で、デザイナーがとっている思考法やプロセスをビジネスに応用することデザイン思考といいます。

モノを作るだけでなく、今ここにない将来のビジョンや見えない道を作り出すことにもデザイン思考を使うことは可能で、デザイン経営と呼ばれたりもします。

目の前の仕事やモノづくりに価値を見出せないときに、主体的に働けるきっかけとなりえるのが会社の思想であり、文化です。まだ形になっていない会社の文化を創造して、愛される会社を作ることがデザインにはできます。


02 愛される会社のカルチャーをデザインする

愛される会社であるということは、社員が主体的に思いやりと創造力を発揮できる環境である、社員が会社を愛してイキイキと働ける環境であるともいえます。

愛される会社を実現できている例として、パタゴニアが紹介されます。世の中にアパレル企業は無数にあるのに、なぜパタゴニアの製品が選ばれる(あ愛される)のか。それはパタゴニア自体が社員から愛される会社であり、社員がイキイキと働けている環境だからです。

愛される会社であるということは、石川さんが説明する下の図の、左側の文化(ブランドカルチャー)の部分と実際に生み出しているプロダクト(経験、エクスペリエンス)の部分が一致している状態ということです。

「“愛される会社”を作るために、地球視点でのデザイン思考を持とう(シンギュラリティナイト 第4回レポート)」より

自分たちのふだんの仕事が何のためにやっているのかがはっきりとわかっていて、なおかつユーザーや市場に評価されている状態が愛される会社の条件ともいえますね。

KESIKI INC.では実際に、愛される会社のデザインを作るために、実験と実践(プロトタイピング)が繰り返されています。


03 KESIKI INC. による実験と実践

モヤモヤを抱きしめる探求型のイノベーション創出アプローチ、としてKESIKI INC.のデザインの実験と実践が紹介されます。デザイン思考によるモノづくりのプロセスは、何か問題に直面したときのモヤモヤ(違和感)を抱えた状態を楽観的に捉えることができます。どう解決したらよいのかがわからない状態(拡散)と、ある程度答えが出そうな状態(収束)をプロジェクトのゴールまで繰り返すことで、今の時代にとって何が必要なのか探求しつつモノづくりをすることができます。

変化の激しい時代(VUCA)では、絶対にこれが正しい!というようなものはないです。大切なのは、目的を持って主体的にイキイキと自分らしく働けることです。働く上で関わりが深い「会社」の文化をデザインすることで、みんなから愛される会社・イキイキと働ける会社をデザインするのが、カルチャーデザインの取り組みであるといえますね。


講義を聞いて

違和感、というキーワードは前回の講義でも共通して出たものです。デザイナーはそれぞれの媒体や領域に応じて専門的に訓練をすることで、自分の中の違和感であったり社会とのずれのようなものを感じ取りやすくなっている、のかもしれません。

自分がよく知っているものについては細部までよく見れるのは、デザインに限らずどんな分野でも同じです。この講義シリーズが開かれた形での開催になっているのは、どんな人でも、誰にでもクリエイティブなことやモノづくりはできるというメッセージが含まれていると感じます。

では!


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