仕事でメモを取ることは必須でない理由
職場でよくある風景かもしれません。
上司や先輩から仕事を教わってメモを取る。
数日後、上司から仕事の指示がやってきて、先日のメモを見ながらとりあえず記憶を辿り何とかやってみた。
けれど案の定、間違っていて注意を受ける。
あの時は「分かった」と思ったし、しっかりメモも取ったけど、何故かメモを見ても詳細が何だかよく分からない。
メモはしっかりと取っていたのに、いざ自分でやってみようと思うと、間違ってしまったり、失敗してしまったりするのは何故なんでしょう。
メモを取っていたのに何故わからない?
仕事を教えてもらっているとき、目の前で実際にやって見せてもらったり、口頭で教えてもらったり、資料をもらったり色々なシチュエーションがあると思います。
業務のポイントに応じて、様々なアドバイスも貰えたり、経験談も入ったりし、情報はかなりの量になるのではないでしょうか。
それを見たり聞いたりしながら、次回自分の出番が来た時に生かすためにメモを取っておくのです。
業務を遂行するのに当然の行動だと考えて行います。
だけど、これが自分の出番が来たときに力が発揮できない大きな原因になるのです。
教えてもらったことを一生懸命に聞きながら見ながら、メモを取りながら覚える。
これって、一度でいっぺんにできる行為なのでしょうか?
教える方の時間も労力も限らている、教わる方はそれを察して、一度に3つの行為をこなしながら覚える。
こんな達人技をしながら、仕事覚えられますか?
きっと、その時は、教わったことを見たばかり、聞いたばかりで記憶は新鮮です。
しかも、メモも取ってあるので『大丈夫』という安心感もあります。
だって、教えてもらったあと、メモを見返したら、自分が理解できてることをしっかり認識できるのですから。
ところが、その業務をすぐに行うわけではなく、数日後に出番が来たときには、見たこと聞いたこと記憶の鮮度は落ちて、所々が曖昧になってしまっています。
もちろん、メモを見返したところで、見たこと聞いたことの記憶の鮮度が蘇る訳ありません。
だから、メモを見てもわからないところは、当然あります。
メモに頼らない
見たり聞いたりしながらメモを取ると、どの行為に労力が割かれるかというと、やっぱりメモです。
メモを取ることで、見たはず聞いたはずになってしまい、メモを見ても詳細が何だったか、あの時どうだったか、と思い出せない状態になります。
もちろん、メモを取ることは大事です。
でも、メモを取ることよりも、もっと大事なことは、しっかり見る・しっかり聞くということです。
メモを取っている行為による安心感に頼っていると、しっかり見る・しっかり聞くという行為が疎かになります。
なので、まずは、しっかり見る・しっかり聞くことに集中することです。
教える側もこのことをよく理解して教えないと、結局失敗を誘発させてしまします。
教わる側がしっかり見る・しっかり聞く環境を作って、その上でメモを取るゆとりを持たせることが必要です。
メモは必要か?
結論からいうと、メモは人の能力を伸ばすために絶対必要ではありません。
できれば良い、あれば良い
それくらいの気持ちで良いと思います。
「いやいや、そんなことないでしょ。」
「メモを題材にした書籍だっていっぱいあってベストセラーだし、何言ってるんですか。」
そんな声も聞こえてきます。
だけど、本当なんです。メモは業務を覚える上で必須ではありません。
私が障害を持つ方の就職支援をしている時
「どうやったらできるようになるか」
を毎日一日中考えていました。
この「どうやったらできるようになるか」は、就職を希望された方はもちろん、雇用側、支援側も含めて全部です。
障害を持つ方の中には、メモを取ることが難しい方もたくさんいらっしゃいます。
だから、「どうやったら」の方法の中に、障害を持つ方自身がメモを取るという方法はどちらかというと下位です。
あまり実用性がなく、即効性もなく、役に立ちにくい方法です。
変わって大事なことは、しっかり見てもらう・しっかり聞いてもらうことで、教える側がその環境を整えることが上位で重要でした。
そして、その環境が整った上で、すぐに教わったことをやってもらう、身につくまで繰り返すことが何よりも業務を遂行するのに役立ち、すぐに会社の戦力になっていました。
それは、メモを取ることが難しいという障害がない方も同じです。
メモを取るという行為は、言うなれば「お守り」のようなものです。
「お守り」はあるに越したことはないですが、いざという時に本当に力を発揮してくれるかどうかは怪しいものです。
ベストセラーになっている様々なメモに関する書籍は、メモを使うための実践法で、決して「お守り」を勧めてはいません。
ということは、使えないメモであれば取る必要はないのです。
もし、どうしてもメモを取りたい、取って欲しいのであれば、しっかり見て・しっかり聞いた土台の上でメモを取ることをお勧めします。
土台がきちんとしていれば、メモの達人になるよりも早く、仕事はしっかりとできる人になれるはずです。
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