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森永泰史
2021年6月4日 08:42
第十回では、デザインを、ブランドの構築に深く関わる「網膜のデザイン」と、イノベーションの実現に深く関わる「観念のデザイン」とに大別したが、厳密には、両者はそのような1対1のシンプルな関係で成り立っているわけではない。強弱の違いはあるものの、それぞれがそれぞれと関連性を有していると考えられる(下図参照)。 例えば、第一回で述べたように、製品の形に代表される「網膜のデザイン」もイノベーションの実
2021年6月4日 08:41
これまで見てきたように、デザインやデザイナーとブランドやイノベーションは切っても切れない関係にある。デザインを無視して、ブランドを構築することはほとんど不可能であり、デザインはブランドそのものであるといえる。また、デザイナーは古くから様々な形でイノベーションの実現にも携わってきた。 ただ、近年では、デザイン思考をはじめとするデザイナーのイノベーション寄りのスキルに関心が集中したことで、審美性や
2021年5月28日 07:50
前回は、デザイン思考などのデザイナー的思考や手法が登場した意義について述べた。その最大の功績は、通常では見えにくいデザイナーの働きを可視化し、それを組織全体で共有可能なものにしたところにある。しかし、現場では、せっかくデザイン思考を導入しても、機能不全に陥ったなどの声がよく聞かれる。その原因には様々なものがあるだろうが、ここでは組織文化に注目してみたい。 近年、デザイン思考を機能させる基盤と
2021年5月21日 09:19
前回見たように、デザイナーの働きは見えにくいため、現場にいない経営陣などからはなかなか評価されにくい。さらに、評価されなければ、投資したり積極的に活用したりすることも困難になる。そのため、多くの企業では、デザイナーの積極的活用をお題目に並べながらも、実際はあまり活用できていないという課題に直面している。 このような見えにくさは、デザイナー自身も薄々気付いているようで、黒田(1996)は、それを