【韓国SF】『わたしたちが光の速さで進めないなら』消えゆく者から生まれゆく者たちへのバトン
切なすぎるSF短編小説集を読みました。
キム・チョヨプさんの『わたしたちが光の速さで進めないなら』です。
この近未来感!ゾクゾクする。
まるで自分が神様にでもなったかのような視点で読み進みました。
「自分は時空のどこにいるんだっけ?」と確認しないと不安になるくらいには壮大。
韓国の文学、エッセイ、評論、どれもハズレがないですね!
おそらく素晴らしい作品を厳選して邦訳し、出版されるのだろうから。
日本で店頭に並ぶ本たちは、精鋭揃いなんだろうとは思うんです。
作家への先入観なく読み始めるということは、期待をあまりしないで読むということでもあるのだけど。
今回も読み進めていくうちに、未だかつて読んだことのないような世界に魅せられて、度肝を抜かれました。
中毒性高めだなぁ。
SFなのに、じわる。
期待値低めからの感嘆ギャップ。
「すごいものを読んでしまった。」とボーゼン自失となる。
陶酔してしまいました。
実は、私はSF小説って読んだことがなかったんです。
本作も宇宙や惑星、時空や時間とか、スケールが何と言うかね。
んんー、もうっ!
脳内で追いつきませんでした。
私は文系人間なので、ちんぷんかんぷんになることもありましたが。
食らいついて読めば大丈夫。
短編がちょうど良い。
行きつ戻りつ読んでやっと理解できるところもあって、「こうなるんだ!」という驚きも。
とにかく、映画を観ているようで。
ファンタジーでもある。
そうかと思えば、社会的弱者への眼差しが背景にあったり、命について考えさせられるような哲学的側面も描かれていて、幾重にも深いんです。
みなさんにも味わって欲しいなぁ。
キム・チョヨプさんは若い作家さんなんですけど、この感性、どこから来るんだろう。
すごいなぁ。
あらすじは今回は書けません。
説明するほどに、陳腐に汚してしまいそうで。
新しい感覚を呼び覚まされること間違いないです。
知的欲求も掻き立てられました。
この本を読んで宇宙のことも勉強しようと思いました。
表紙が可愛いから男性は躊躇しちゃうかもしれませんが、性別関係なく面白いですよ。
むしろ、男性の方が好きかもしれません。
消えゆく者から、生まれゆく者たちへつなぐ、生命体のようなSF。
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