『LIFE SPAN 老いなき世界』死が遠くなる世界へ
やっと腰を据えて『LIFESPAN 老いなき世界』を読みました。
いやぁ、これほどまでに面白いとは!
期待以上でした!
厚さに躊躇している方!
どこから読んでも興味深いので、絶対読んでみてください。
まるでSF映画のような世界が広がっていて驚愕させられます。
この投稿では、老化と長寿遺伝子を生活の中で働かせる方法、さらに、その方法をサプリで補うところまでを、まとめてみました。
ちょっと、ややこしいかもしれませんが!
「老化」は、身体の衰えをもたらし、生活の質を制限し、特定の病的異常を伴うもの。
これだけの特徴がありながら、病気と呼ぶための基準を1つだけ満たしていません。
病気とは、「人口の半数未満」が被る不調のこと。
ここに引っかかる。
老化は誰にも平等に訪れるので、病気に当てはまらないことになるというんですね。
しかし、本著はでは老化は病気と捉え、死因の1つだという立場をとっています。
では「長寿遺伝子」を働かせるために、生活習慣でできることとは?
・食事制限を行う(たくさん食べない)
・アミノ酸の摂取量を控える(赤身肉や加工肉)
・寒さに身をさらして褐色脂肪細胞のミトコンドリアを活性化
・タバコや有害な化学物質、放射線を避ける
・運動をして血液細胞のテロメアを長くする
・高強度インターバルトレーニング(HIIT)が効果的
これらも効果があるのですが、サーチュインを活性化させる科学物質が2つ発見されたそう。
1つめはフィセチンというポリフェノールの一種。
イチゴなどの果物の発色を助ける成分です。
2つめは、ブテイン。
植物の花や有毒なウルシに含まれます。
しかし、これらは劇的な効果は見られなかったようですね。
フィセチンとブテインの構造は、2つのフェノール環で繋がっています。
そこで、その構造を持つレスベラトールに注目。
フィセチンとブテイン同様に寿命を長くすることが発見されました。
さらに、レスベラトールは、化学物質で活性化できるということが明らかになるんですね。
それがNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)。
NADは、老化や病気を含む、数々の重要な生体プロセスを調節する鍵を握る物質で、サーチュインの燃料となることが突き止められました。
そのNADを増幅させるのが、NRとNMNというものです。
NR(ニコチンアミドリボシド)は牛乳に微量が含まれるが、機能性食品としても販売されているそうです。
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、人間の細胞内でも作られ、アボカド、ブロッコリー、キャベツなどの食物にも含まれています。
体内ではNRがまずNMNに変換され、次にNADになります。
NRかNMNを入れた飲み物を動物に与えると、体内のNAD濃度は2〜3時間で約25%上昇。
それは、絶食か相当な運動をしていたかのような上がり方だったといいます。
他の研究では、高齢のマウスにNMNの注射を1週間続けただけで、ミトコンドリアが若いマウスと比べても遜色ないくらいに機能が回復したとか。
NMNはNRには見られない健康効果が確認される一方で、マウスの寿命を延ばすことが実証されているのは、NRです。
今、人間を対象にしたNAD濃度を高める研究は続いていて。
さらに、NMNには生殖能力を回復する可能性もあるというのだから驚きです。
閉経後の女性がNMNのサプリメントを飲んでいたら生理が始まったという事例も、少ないけれど認められているそう。
そんな訳で、老化は病気なので、治療できる未来がやってくるのも近い!かも。
これから人間はどれほどの健康寿命を獲得していくのでしょうか。
期待と不安が入り混じりながら、読書の幸せに浸りきりました。
感染症についてや、ロンドンと感染症の歴史が書かれていたり、今のコロナを予見させるような部分は、なんとも複雑な気持ちにさせられました。
紹介しきれないほど、どこを読んでも面白いです。
騙されたと思って、読んでみてくださいませ。