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夏、せんぷうき

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#小説

あの子の日記 「麦の夜」

首元で感じる蒸し暑さで去年の夏を思い出す。同じ居酒屋、同じメンバー、机の上には飲みかけの…

もりみ
5年前
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あの子の日記 「危ない月をさかさまに」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集 ほどけた赤い糸が小指に絡まったまま、わ…

もりみ
6年前
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あの子の日記 「きえない」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集 僕はいつだって言葉の変化に気づかない。…

もりみ
6年前
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あの子の日記 「インスタントカップル」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集 夏まっただなかの図書館は天国のように冷…

もりみ
6年前
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あの子の日記 「ぬかるみの中で 」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集 太陽がまぶしい。空が青い。月が光って、…

もりみ
6年前
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あの子の日記 「無糖の甘み」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集 いい香りの茶色い大地がふくふくと膨れあ…

もりみ
6年前
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あの子の日記 「織姫様は別のひと」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集 商店街の屋根から聞こえる雨音が星屑みたいにきらめいている。居酒屋から出てきた顔の赤い人たちは、天井から吊り下げられた吹き流しに気づかないまま駅のほうへ歩いていく。 七夕を目前にして、日常に入り込んだ祭りの雰囲気は、まだこのまちに馴染めていないらしい。どこからか吹いた風は私の前髪をやさしく撫でて、さらさらと揺れる笹の葉の居場所を教えてくれた。 静かな通りにポツンと設置された小さな笹には、色とりどりの短冊がぶら下がっている。

あの子の日記 「透明スプーン」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集 朝の電車は太陽を目いっぱい浴びて、線路…

もりみ
6年前
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あの子の日記 「きみと夏の毛布」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集 後ろを振り返ると、手を繋いだ二人が金色…

もりみ
6年前
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あの子の日記 「濡れる磁石」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集 ぽつりと聞こえる止んだはずの雨の音。背…

もりみ
6年前
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あの子の日記 「こぼれおちた苺ソフト」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集 曖昧な言葉で繋がったこの関係は今日でお…

もりみ
6年前
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