あの子の日記 「きえない」
日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集
僕はいつだって言葉の変化に気づかない。知らなかったんだ、どんな言葉も氷のように溶けてしまうなんて。
きみは覚えているのかな。かき氷を分けっこして食べたあの日、僕に好きだと言ってくれたこと。
大切な言葉だから、消えてしまわないようにずっと胸のなかにしまっていた。
手放したくない言葉だから、気持ちが冷めてしまわないようにずっと温めていた。
だけど、とっても不思議なんだ。僕の中からもう消えちゃってた。
きっと僕の温度が高すぎたせいだ。きみが持っていた温度より、ずっとずっと高くなってしまったからだ。
きみが残した水たまりは大きくて、何度拭いても水滴を残すんだね。
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あたまのネジが何個か抜けちゃったので、ホームセンターで調達したいです。