体罰を受けて育った人はどうなるか?【こうなります】
機能不全家族で育った人の中には体罰という名のマルトリートメント(不適切養育)を受けて育った人も多いですが、
今回は体罰を受けて育った人はどうなるか?ということについてお話ししたいと思います。
親による体罰は2020年に法律によって禁止となりましたが、以前は「子供は口で言ってもわからないから叩いて教える」という教育方針(?)の親御さんも大勢いました。
ただ、これはこれから見ていきますが、今も昔も体罰は不適切養育(子供の健全な成長を妨げる行為)であることに変わりはありません。
うつ病になりやすい
「子供の脳を傷つける親たち」の著者で脳科学者の友田明美さんは幼少期に体罰を受けると脳が変形すると指摘しています。
具体的には、脳の感情や思考をコントロールする部位が19.1%、集中力や意思決定などに関係する部位が16.9%、物事を理解したり判断することに関係する部位が14.5%、それぞれ減少(変形)していたことが研究によって明らかになったと語っています。(参考文献:子供の脳を傷つける親たち 友田明美著)
ちなみに、これらの部位が変形することでうつ病になりやすいことがわかっています。
歪んだセルフイメージ
友田明美さんは体罰は体への不適切養育だけではなく、心への不適切養育でもあると語っていますが、
子供は体罰を受けても「これはしてはいけないんだな」と判断することができません。
これはやってはいけないと理解したからやらなくなるのではなく、ただ、痛い思いをするのが怖いからその行為をしなくなるだけなんですね。
だから、体罰はただ痛みと恐怖を与えるだけ、トラウマになるだけだったりします。
そして、そのトラウマがあるとどうなるかというと、例えば、人を信じられなくなります。
親しくなった人にも安心して心を開けなくなります。
考えてみれば当然です。
本来であれば、安心させてくれて、自分を守ってくれるはずの親から(体罰という名の)暴力を受けているわけですから。
一体誰を信頼すればいいの?ってなると思うんですね。
また、体罰は一方的な暴力であり、子供にしてみればものすごく屈辱的なことなんですね。
家族の前で叩かれたり、自分は全くやり返すことができない、ただやられるだけという状況はものすごく屈辱的です。
だから、そういう経験を繰り返すことで自分は恥ずかしい存在だ、自分はダメな人間なんだという歪んだセルフイメージを持ってしまう結果になることもよくあります。
また、自分はダメな人間だというセルフイメージを持ったまま学校や社会に出ていくのですから、それだけで大きなハンデになるし、大きな足かせになります。
痛みを伝える神経が細くなる
体罰を受けた人の脳は痛みを伝える神経回路が細くなっていることが研究によって明らかになっていますが、これは痛みに鈍感になるように脳が適応した結果である可能性があるそうです。
痛みに鈍感になると痛みはあまり感じませんが、それは感覚をマヒさせているだけであって身体はダメージを受けてます。
だから、(感覚をマヒさせていると)知らぬ間に色々なダメージとか疲労が溜まっていって、ある日突然落ちてしまうってことが起こりやすくなります。
ここまで体罰を受けて育った人はどうなるかということについて見てきました。
冒頭で「子供は口で言ってもわからないから叩いて教える」という言葉を紹介しましたが、これは100%間違ってたわけです。
ただ、体罰を繰り返してきた親御さんは自分を正当化する傾向があって、これは「子供をしつけるためだった」と言い張る人が少なくありません。
また、最初は軽い体罰だったのがどんどんエスカレートしていき、気づいたら虐待に発展していたケースもよくあります。
そのような状態になっても尚、「しつけのためだった」「そういう時代だった」と言い張る親御さんもいますが、
体罰はしつけではなく暴力だし、体罰はいつの時代も子供の将来に悪影響を及ぼす行為であることに変わりはありません。
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