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エッセイ

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#小説

ただ、祈る。穏やかな日々を。

ただ、祈る。穏やかな日々を。

本来なら、この二日間は旅行に行ってくる予定だった。ただ先月真ん中辺りから、精神的に調子を少し崩していて、旅行をキャンセルさせて貰った。

先週末、ずっと自分には課題だった仕事、実はこれができなきゃ、仕事を辞めようと割と追い込まれていたってのもある。
その課題だった仕事後、
決してうまくいったわけでもなく、
できるようになったってわけでもないけれど、
少しだけ、やっていけそうだ、と思った。
ふと数ヶ

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小説を書こうと思った!

小説を書こうと思った!

この季節にはもう外がこの時間には明るくなってきて、小さく開けた窓から、風の音が聞こえてくる。風の音、ときおり走り行く車のエンジン音、まだひとの声はしない、暗い部屋の小さなスピーカーから流れる94年にリリースされたニール・ヤングが歌う。

七連勤、うち三夜勤は確実に自分の体を侵食してくる。メンタルは豆腐だね、と笑われるけれど、体はタフだって自信があった…ちょっとだけ疲れ気味だけれど、水瓶座は5月から

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本を読む、音を聴くー未完成14

ストーリーオブマイライフ/わたしの若草物語を観て、ずっと泣いていました。
冒頭、作家志望の次女ジョーがパーティーで、ダンスするシーン。躍動する、そこからは一気だった。
狭い、ソーシャルディスタンスの取られた劇場の、一番前の、隅っこ…つまりはなかなかに観にくい場所から見上げたスクリーンに、もう入り込んで、夢中になった。
いくつもの文脈で批評することはできるでしょうが、しません。というかできません。僕

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本を読む、音を聴くー未完成12

ようやく、長らく書く、書くと勝手にいいつづけてきた小説を、短篇とはいえ、書き上げることができました。綴られた28563文字の連なり。

大好きな作家、保坂和志さんに倣い、最初の作品にすべてを込めました。いままでのすべてを。もし途中で筆が止まるなら、アイディアごと捨てるつもりでもいました、保坂和志さんに倣い。

ほぼほぼ、フィクションを初めて書いた。

楽しかった!。書きたいこと、結末に向けて書いて

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本を読む、音を聴くー未完成3

坂口恭平さんの独立国家の作り方を引用します。

創造とは疑問を問いにすること というところで、大事なことは、何かに疑問を持ったかということだ。それがあれば生き延びられる。

続く 死ねない環境をつくる というところで、それでも見つけろ。納得するな。問いに結びつけろ、と。

保坂和志さんは、「三十歳までなんか生きるな」と思っていた、という本の前書きで、「書く」という行為には、対象を理解しようという力

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子供みたいな寝顔だな

大学生活も三年目に入っていた。僕は僕自身の困難を抱えていて、どんどんと暗くなっていった。授業中にパニック発作が出ることが増えていき、狭い教室の、風の吹かない閉めっぱなしの窓から見える、外に逃げ出す自分と、その教室の中で卒倒する自分を想像して、冷や汗が止まらなくなり、誰のことばも耳をすり抜けていき、自分が発する声や身体そのものが現実から少しだけ重力を失っていく。
サークルで新歓がはじまり、同期の部長

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あなたは僕を少年にもどす

大学に入学した僕は、ガイダンス合宿って授業が始まる前に新入生だけで行く千葉のホテルで、たまたま同部屋だった男の子たち4人と、新歓ガイダンスってのに行った。大きな講堂の片隅で、僕らはいろんなサークルの出し物を見た。音楽系のサークルがライブを始めた。ネルシャツにジーンズのラフな格好をした女の子が、ラモーンズの電撃バップを歌い出したとき、横にいたYが身を乗り出したのを覚えてる。赤いワンピースに丸いサング

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急にね、あなたはいう。

君といた時間は、いつも煙草の煙が辺りに立ち上っていた気がするし、君といた時間から現在にかけてが、中村一義が出す曲を時系列でなぞるみたいに過ぎていく。

大学ってところは、入学したあと直ぐに仲良くなる友達とは、割と早い段階で、挨拶を交わして通り過ぎる程度の距離に落ち着く。
それでも地方からこっちに出てきて、はじめての一人暮らしをする彼ら彼女たちの家では、夏の試験期間まではお泊まり会があるし、マル

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18歳

陽炎がアスファルトに揺れていた。
向かい側の喫茶店の窓に映る君と僕の姿。
横を向くと、下らない冗談を飛ばして一人で笑う君の指の間に挟まるマルボロ。
キスしたいな。初めて、思った。
僕はまだ18歳で、それが人生で最も美しい季節だとは、いまでも思わない。
二人とも男だったからでは、もちろんない。
二人とも、とても不細工だったからだ。

18歳のときに通っていた予備校は、新宿から中央線で10分のとこ

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