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エッセイ

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2020年5月の記事一覧

本を読む、音を聴くー未完成10

「さよなら、退屈なレオニー」を観る。あらすじは省きます。触れているひとは触れているように「ゴーストワールド」を少しだけ思い出しました。とはいえ映画の記憶力に関しては、いや記憶力自体、衰えているので朧げに。まず服が欲しくなった。最近、買っていないからなぁ。レオニーの着る服がどれもかわいくて、洒落ていて、素敵でした。主演のレオニー役の役者さんが、本当に表情が豊かで、こんな顔をされたらもう、たまんないよ

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本を読む、音を聴くー未完成9

「ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた」を観る。例によって、あらすじは割愛します。ずっと流れている歌が良かった。久しぶりにサウンドトラックを聴きたくなる。いくつかの覚え書きを。主役の父親の友達であるバーのマスターが、風変わりで、そこでひとこと。「彼、水瓶座だ」水瓶座の僕にはくすりとくる。その水瓶座のマスターが、マリワナやウィードを吸いにウッドストックに行ったことを、「木を見に行った。木がたくさん

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本を読む、音を聴くー未完成8

SpotifyのPODCAST、三原勇希×田中宗一郎 POPLIFEの#70と#71を続けて聞く。今回は三原勇希さんがラッパー、あっこゴリラさんと、文化人類学のバックグラウンドを持ち、いまはアフリカ南東部マラウイ共和国で芸術教育アドバイザーとして暮らす長井優希乃さんを招いて、映画・音楽ジャーナリスト、宇野維正さんと五人でのフリートーク。文化人類学のはなし、「他者」や「まなざす」といったことばを起点

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僕たちは何も始まってはいなかった

大学二年生のころ、はじめてデートに誘された。Gさ、水族館でも行かない?良いよ。と決めてから、計画を立てるまで、そして実際に計画を実行に移すまで何か月もかかった。誘いに断れない優柔不断な僕は、周りにせっつかれて、ようやく二人で新木場あたりの水族館に行った。大好きなペンギンのショーを見て、ペンギンのぬいぐるみを買って、それから高所恐怖症ゆえ乗れなかった観覧車を眺めながら、二人で何を話したかは覚えていな

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誰もが特別を持ってる、誰もが特別を待ってる。

ある晩、ある女性を頼ってきた子がいた。ある女性の仕事が落ち着いて彼女のはなしを聞けるようになるまで、僕は彼女のことばに耳を傾けていた。ようやく暗い顔の彼女が少しだけ笑った。いまの僕の役割はそれなんだな、そしてずっとそうだったんだな、と思う。「Gさんなんかに相談して大丈夫なの?」声の大きな男が嗤う。僕はそれを無視しながら、僕がある種ジョーカーめいた存在なんだなと自覚する。だって!女の子って、どんだけ

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本を読む、音を聴くー未完成7

タイトルとは違い、今回は映画を三本観た話から。批評や評論をするつもりではないです。僕にとって映画は自分のなかのイマジネーションを膨らませたり、暮らしのなかでのインスピレーションを貰うにうってつけの、例えば気持ちが落ち着いているときにする散歩のように、思考が浮かんでは消えていく。最近は安いノート片手にずっとメモを取っている。そして…映画の内容自体は実はあまり覚えていない。ここが、映画評論家になれなか

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あの晩、彼女に渡した指輪

僕は指輪を女性に渡したことって、1回しかない。いちばん長く付き合っていた女性に、Gちゃん、指輪欲しい。でも、おもちゃの指輪が良いなあ、そんなふうにいわれて、100円のおもちゃさ屋さんで買った指輪を渡した。その女性とのはなしは書けないまま。人生をまるごと変えてしまうような、月並みにいえばスコット・フィッツジェラルドにとっての、ゼルダのような。フィッツジェラルドは実はよく知らない。でも「夜はやさし」を

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空(くう)の指輪とモヒート

さすがにmixを作っていると、文章を上げる速度が落ちる。次、次の次と構想をどんどんとノートにへたっぴぃな文字で綴っていく。ふいにSNSのアカウント申請の承認された音が鳴る。携帯に目をやると懐かしい名前。僕にとっては夏になると必ず思い出すひと。珍しくてかわいい名前のひとに、もう何年振りかで繋がる。SNSが面白いなと思う所以。ひとは簡単に他人になれる。もちろん簡単に友達にもなれる。でもやっぱり他人にな

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本を読む、音を聴くー未完成6

運命が変わる瞬間てのはいつも一瞬で、あっという間だ。

太陽が昇り、風が吹く。太陽へ向かって歩き出す僕に追い風が吹く。

もしくはまた、ぎりぎりのところで生かされている。破綻はするけれども、終わりではない。

ある方に、あなたを許してないのは、あなたなんだよ、と真剣にいわれた瞬間に泣きそうになる。

あるいは自宅待機が解かれた晩、久しぶりに会った介護の大先輩に、真摯な目で見つめられて、2時間くらい

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本を読む、音を聴くー未完成5

タルコフスキーの「鏡」を観る。途中でDVDがスローになったり、早送りになったり、挙句にはパソコン自体がフリーズする。でも、最後まで観る。いまアンゲロプロスとタルコフスキーをはじめて観ている。映画の理論・評論を学ぶ学校に居たにも関わらず。というのはアンゲロプロスとタルコフスキーの映画は、僕にとってはだけれど、途中でやめてからしばらくして改めて再生しても、何度観ても、美しいと思いながら、まだ今のところ

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愛してる、突然にひとはいう

1998年の春、僕は二回目の浪人生活を、今住んでいるこの街で過ごす。友達を作る気はあまりなかった。というよりシャイ過ぎる性格で、入校しても、周りの人みたいには直ぐにバディを作れずにいた。僕の席はいつも決まって教室の右奥の後ろから二番目。授業の合間にはずっと週刊漫画雑誌を読んでいた。4月の半ば、僕が自分が座る席に鞄を置いていつものように、喫煙所で煙草を吸って帰ってくると、鞄がもう一つ前の席に置き換え

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本を読む、音を聴くー未完成4

雨が降り続いている。寒さのあまり、電気ヒーターを出してきた。たまに匂いと煙で布団に穴ぼこを開けるやつ。やかんで安い素麺を茹で、皿などではなく炊飯器のお釜を食器代わりに食べる。どうかしている。明日の入金で水道を支払わなければ、水道が止まる。ガスや電気はたまにあるけれど、水道は初めてだ。苦みを笑う。それでも無料で観られるアンゲロプロスの映画を垂れ流しにしながら、一つの発見をする。映画もまた日々のBGM

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本を読む、音を聴くー未完成3

坂口恭平さんの独立国家の作り方を引用します。

創造とは疑問を問いにすること というところで、大事なことは、何かに疑問を持ったかということだ。それがあれば生き延びられる。

続く 死ねない環境をつくる というところで、それでも見つけろ。納得するな。問いに結びつけろ、と。

保坂和志さんは、「三十歳までなんか生きるな」と思っていた、という本の前書きで、「書く」という行為には、対象を理解しようという力

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本を読む、音を聴くー未完成第2

ご自由にお書きください。

安いパソコンでnoteを開いて文字を打ち込もうとすると、まずこの言葉が出てきた。では自由に書かせていただきます。

僕が唯一、学生時代にぼんやりとなりたかったのは、音楽雑誌の編集者、ライターだった。そのときには、今ほどは音楽を語る知識もなければ、未だに全く理論は理解できない、かつ文章も今ほどは伝えたいことを書いていく、連ねていく技術もなかった。それは誰かに比して、という

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