本を読む、音を聴くー未完成9

「ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた」を観る。例によって、あらすじは割愛します。ずっと流れている歌が良かった。久しぶりにサウンドトラックを聴きたくなる。いくつかの覚え書きを。主役の父親の友達であるバーのマスターが、風変わりで、そこでひとこと。「彼、水瓶座だ」水瓶座の僕にはくすりとくる。その水瓶座のマスターが、マリワナやウィードを吸いにウッドストックに行ったことを、「木を見に行った。木がたくさんあるところに」と喋っていて(うろ覚えですが)、水瓶座についてよくわかってるなぁとくすりと笑う。やさしさと音に満ちたこの映画から、僕はやまじえびねの漫画を思い出した。主人公の娘役の役者さんと恋人が、ベッドで向かい合う場面などは直接、「ラブ・マイ・ライフ」を思い起こさせるし、彼女が歌いだしたとき、いちばんに踊り出したのが彼女の恋人だったのも、素敵でした。むかしから小さなライブハウスでお客さんもそんなにはいないなかで、誰もがクールに構えてるなかで、勝手にひとりで踊ってた僕に、見てて、おーっ!って思うで、といってくれたひとがいて、そのひとはお前の踊りながら、右手で作った拳銃をこめかみにあてる仕草や叫び声を聞くとテンションがあがるわ、といった。フェスティバルに何度かDJで行ったとき、一緒にいた友達が呟く。「いろんな出演者のなかで、あんただけはずっとステージを見てたよね」無名の僕はずっと好きだったミュージシャンとライブをご一緒できることも嬉しかったけれど、やっぱりライブをずっと見られることが何より嬉しかった。主役の、娘役の役者さんがとにかくかわいくて、チャーミングで良かったな。あと未確認ですが、J.マスシスが出ていた気が…気のせいかな。いくつかの思い出を。恋人と、二人の身体が別なのがもどかしくあったことを思い出した。それでも二人それぞれに、同じ風景を見ているね、ってささやいたこと。また別の恋人とは、おじいちゃんになってもDJをやってるGちゃんを見たい、っていわれたこと。ずっと音楽を好きでいたいなぁと改めて思う映画でした。

そのあとに観ようとした映画が、微弱なWiFi環境で途切れたためにまたこうして書いている。いまほとんどお酒を呑まなくなった僕は、いつかもう1度だけドレスアップした恋人と、銀座のホテルのバーでウィスキーを呑みたいな、あと美術館に二人で行きたいなと思う。ほとんど初めて行った美術館の展示はもとより、雰囲気や、そこにあったアジアン料理のレストランでの食事も本当に美しい日で、もう1度くらい、そんな風に誰かと過ごしてみたいと妄想するのです。

いま、社会そのものが、社会の価値観や働き方そのものがどんどんと変化していく瞬間に立っている。そのなかで映画を観ながら、僕は僕を救いたかったんだな、とかつて福祉に向かう自分について書いていた。もちろんいまだに自分とも経済的な部分でも格闘中だけれど、やっぱりそれは甘かったんだなと思う。ぜんぜん、甘いところにいたんだな、と。それでもずっと音楽だけは好きでいたいな、と思った。

バーで呑んでいたら、宍道湖のはなしになった。宍道湖の夕焼けが本当にきれいだったという方に耳を傾けながら、僕が16歳くらいで小説を書き出した時のずっと未完成でしかあり得なかったおはなしを思い出していた。それは、宍道湖のそばにある精神科か児童相談所で、むかしむかし箱庭療法などを受けていたときのはなし。書きたい物語は、二つあった。ひとつは、カウンセリングを受けた後、待合室で母親と医師の面談を待つ少年を、こんなとこ、退屈でしょ?と女の子に話しかけられて、二人でそこを抜け出して、宍道湖の周りを歩く話。夕焼けのなかで会話もなく、ただ歩く二人はいつか、じゃあかえろっか?ということばで、その精神科か児童相談所に歩いて帰り、帰り道の車の中で、ずっと母親の小言を聞きながら、窓から映る夜道の暗い中に点々と灯る外灯を見ている少年の話。それから、引きこもりすぎて、マリーって名前の幻想の女性が見えるようになり、彼女と一緒に暮らす日々を送る少年のはなし。どちらかに「子供たちの眠る場所」と名付けたはずで、もしかしたらどちらも「子供たちの眠る場所」だったのかもしれない。書けず仕舞いだったけれど。たしかドフトエフスキーの白夜と、マリー・ジランという役者さんと、自分のはなしを混ぜていたんだっけ。

たまたまいままであまり聴いてなかったJAY-Zをまとめて聴いた。ノート片手に初期から近作まで。コードなどまったく拾えないけれど、リズムに重きを置いて、分析とまではいけない雑多な記録を残したのもなかなかに面白い体験だった。これは近く、JAY-Zではなく、1枚のアルバムをピックアップして、レヴューまではいけない、でも少し形になれば、アップします。あるいはDJ中に僕が何を考えてセレクトしているか、なども。できたらば。あと、思い付きですが、もう日本の音楽で再発見、DIGってやつをされていないのはアリスやサーカスなんかだと思い付いたんだけれど、もうされているかもなあ。

やっぱりどうしても女の子のはなしが多くなってしまう、このnoteで、ちょっとどうかとも自分でも思うし、実話なの?と聞かれたりしますが、ほぼほぼ実話です。フィクションを書く描き方がまだ手についていません。でも書けることと書けないことというよりは、何を書き、何を書かないかはずっと選んでいます。あと、僕はそもそも友達がいないうえに、いたとしても女性だったりするのが大きいのかな。

とりあえず、いまはそんな感じで、一旦、パソコンを閉じます。ありがとうございます!。曇ってきましたが、良き一日でありますように。

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