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風花 朋(Kazahana Tomo)
2022年1月30日 13:57
冬に想う、夏のうだるような暑さ、容赦なく照りつける日差し、鳴きやむことのない蝉の声、草いきれのこもる道、夕立のあとのアスファルトの匂い、夜空に煌めく大輪の花。そのすべてが狂おしいほど恋しい。暑さで皆が少しずつおかしくなってしまうような。匂い立つ濃密な闇。なにかが起こりそうで、でも結局なにも起こらないまま終わる夏。胸がぎゅっと締めつけられるようなあの空気感。あの中にいますぐ戻りたいと、そう願う。
2021年11月7日 12:51
抜けるような青空。木々はほのかに色づき、澄んだ空気がひんやりと頬に触れた。透き通った美しい水が流れてゆく。とどまることを知らない、永遠の清らかな流れ。その流れゆく様を、ずっとずっと眺めていたくなる。世界がどんなに困難な状況にあろうとも、季節はいつも通り移ろいゆく。今年もまた、美しい季節がやってきた。日々変わりゆくこの景色を一瞬たりとも見逃したくはない。この美しい世界にずっと身を委ねていよう。そ
2020年9月30日 12:33
あのうだるような暑さがようやくなりをひそめ、透明感を増した、淡い水色の空があらわれはじめた。涼やかな風が爽やかに通り抜けていく。私の頬をなでながら。澄んだ空気を大きく吸い込むと、わたしの身体が秋で充たされていくのがわかる。金木犀についた蕾たちが、あと数日後の花開く瞬間を待っている。そのまえを通りすぎれば、すでにあの甘い香りが漂いはじめていた。美しく、物悲しい季節のはじまり。移ろう季節