【もののふ椿🌺本の紹介】衝撃の書『椿井文書』で私が見つけたもの①先祖の土地にあまりにも近い
2020年3月に出版された『椿井文書ー日本最大級の偽文書』(中公新書)を、覚えている方は多いでしょう。当時、新聞や雑誌でずいぶん取り上げられました。
学校教材や市町村史に掲載された中世の地図など、貴重な古文書の数々。
実はそれは、江戸時代、たったひとりの男性が作りあげた真っ赤な偽物だったーー。
そんなセンセーショナルな内容でした。
本書を読んで、思わず、地元の自治体史が椿井文書ではないか確認した人もいるでしょう。また、自分のルーツ探しをしている人なら、こんな考えが頭をよぎったかもしれません。
私もそう考えた1人でした。
今回は、私がこの本を読んだときに心が大きくザワついた出来事についてお話しします。
▼どこかで聞いた「椿井」という名前
私が初めて「椿井文書」というタイトルを聞いた時、「あれ?」と思いました。「椿井」という言葉に、なんとなく聞き覚えがあったからです。
あっそうだ。
私が18歳まで住んでいた奈良市内に椿井小学校があったっけ。もしかして昔、あの椿井町あたりに住んでいた人が、この偽文書を作ったのかな?
などと、その時はのんきに思いました。
▼意外な場所に存在した「椿井」
しかし、本書を買い、「はしがき」を読み始めてすぐ、私はドキッとしました。
木津川市?
私のルーツであるW町のすぐ近くだ。
思わず、地図を確認しました。
……近い!
木津川市からW町まで、直線距離で10kmぐらいしかありません。
こんな近い所に、ものすごい数の偽文書を作った人が存在したとは。
この時点で、私はなんだかイヤ~な予感がしました。
▼曽祖父が書き残した、わが家の歴史
ここで、最近読み始めた方のために説明しておくと、W町は私のご先祖が代々住んでいた場所です。江戸時代にお茶の栽培を始め、茶商として成長していく様子が、自治体の資料から読み取れました。
そして、私の曽祖父(筒井N助)の作った家系図によると、うちのルーツは大和の戦国大名・筒井順慶。
順慶は、奈良の興福寺の僧兵のトップとして、また、織田信長の臣下として活躍し、NHKの大河ドラマ『麒麟がくる』にも登場しました。
曽祖父は、自分が大和の筒井氏の末裔であることを証明しようとあちこちに旅をしたものの、結局よくわからなかったようです。
それから約80年後、ひょんなことからその家系図を手に入れた私は、曽祖父の熱意に心を打たれ、その遺志を継いで旅を続けることにしました(その経緯については以前noteに書きました)。
▼この本の中に、もしかしてうちのご先祖に関する古文書が?
私は、ルーツ探しの中でさまざまな人と出会い、資料を集め、漠然としながらも1つの仮説を立てました。
しかし、もしその資料の中に椿井文書がまぎれこんでいたら、私は偽文書をもとに仮説を立てていることになってしまいます。それはマズい。
もしかしたら、この本の中に、うちの先祖に関する古文書が出てくるんじゃないか……。
私はドキドキしながら、急いでページをめくりました。
(続く)
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