#167 天才の所業『ニーナ・シモン at ロニー・スコット』
あなたは天才か?
たぶん、違うと答える人が多いだろう。
でも、一部「俺は天才だ」と答える人がいるかもしれない。
その人には「じゃあ、これを見ても、あなたは天才といえるか?」と聞く。
「うん、それでも俺は天才みたいだ」と答えるなら、その人はきっと天才に出会っても天才と見抜けない程度の才能だと思う。
#ニーナ・シモン のことは以前も書いた。そして、私は天才と言った。
『ニーナとピアノ』ムは、天才の最高の輝きを最高の形で記録した奇跡の一枚だと、いまだに信じてやまない。
そして、今回紹介する『ライブ・アット・ロニー・スコット』は、天才が日常に舞い降りたとき、どれくらい「格」が違うのかというのが嫌というほどわかる映像作品だ。
DVDを紹介しているけれど、実は(違法だと思うのだが)YouTubeで全部見れてしまう。
メンバーは、ニーナとパーカッションの2人だけ。それだけで、どこを切り取っても恐ろしいくらい音楽になっている。中には、パーカッションだけで歌っている曲もあるが、伴奏もないのに、それだけで、聴衆をハッピーにスイングさせる。
それよりも、ニーナの神のお告げのようなボーカルはどうだろう。声量もなく、表現も淡々としているのに、ここまで深い情感を呼び起こす声はほかにない。ピアノの音色もそうだ、こんな滋味深い音色はどうだろう。
パーカッションもたぶん無名の人だけれど、ニーナにピタリとつけていてとてもうまい。パーカッションなのに歌がある。お互いが信頼し合って、音楽を構築している。僕は常々思うんだけれど、本当に才能のある人というのは、実にさりげなく存在しているということだ。
時々汗を拭いたりして、ピアノの演奏が抜けることがあるが、もう、天才は、そんなことで、音楽が止まったりしない。聞き手を引き込む力がある演奏は、ミスとか音の抜けとか、些細なことにすぎないというのが分かる。
そんなニーナだが、このDVDで「協力者を探している」と訴えている。天才なのに孤独なのだ。そして全く真顔で「私は神の子なの」と発言も。自惚れている人間の才能などちっぽけなのだということが分かる。
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