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#193 『チェット』
大好きな #チェット・ベイカー の愛聴盤の一つ。
言わずもがな、最高のジャケットですね・・・かっこええ。さて中身は。
中身もジャケットを反映して、ムーディーでけだるい感じのもの。 #ビル・エヴァンス が参加しており、彼のピアノのおかげで、退廃手前の、凛とした格調を保っている。
・・・のだが。
途中で入ってくる #ペッパー・アダムス のうるさいバリトン・サックスは若いころは興ざめだった。 #ハービー・マン のフルートも、どちらかというと中低音ばかりをつかうため、フルートのきらびやかさがなく、少し残念に思った。
けれど、いまじゃ、それも好きだ。
ペッパー・アダムスは、闇を切り裂くような音色で、この情事(ジャケットから勝手に想像)には、闇もあるのだと教えてくれているよう。ハービー・マンも大事なアンサンブルの一因だ。彼らがいないと、少しピリッとしない散漫なアルバムになったかもしれない。
それにしても、チェット・ベイカーのトランペットの音色の魅力はどうだろう。単なる金属の筒から、彼にしか吹けない、憂いのある音色を奏でているのだから、楽器とは不思議なものである。
このCDを僕は、外国版の #OJC レーベルで聞いている。リヴァーサイド、プレスティッジ、コンテンポラリー、など、ジャズの看板的なレーベルを一斉にCDで再発したレーベルである。共通のロゴが表ジャケットについているのでわかりやすい。
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ただ、OJC盤は、「音がきれいすぎる」「薄すぎる」といった批判はあった。私は、OJCのきれいな音質が好きなので、まったく意に介さないけれど、けれど、この『チェット』に関しては、ますますこの繊細な音とリバーブが必要なのではないかと思っている。
その批判を受けてか、このリヴァーサイド・レーベルの創始者、 #オリン・キープニュース が、また別のマスタリングで、このアルバムを再発したことがあるけれど、そちらは「太いアナログ感」が強く、さらにリヴァーブも少なくなっており(おそらくOJCが勝手に付け加えていたのだろう)、この青春の甘いムードが吹き飛んでしまったので、がっかりして、うっぱらってしまった。
たしかに、もともとはそういう音だったのかもしれない。けれど、私にとって『チェット』は、透明感のある壊れそうなガラスのハートのような、OJC盤の音でなくてはならないのだ。
OJC盤は製造中止となっているものも多く、再発されてもCD-Rになっている。プレスCDのOJC盤は、だんだん稀少になってきている(下のリンクもOJC盤で値段が高騰しているみたい)
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