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#175 追悼 デヴィッド・サンボーン

少し前だけれど、2024年5月12日に、 #デヴィッド・サンボーン がなくなった。78歳。まだ若いと思う。

この一報を聞いたとき、僕は、喪失感、というよりも、とても悲しかった。泣きたいくらいだ。友達のような親しみやすさを感じるミュージシャンだった。

それは、彼のサウンドが、「ジャズ」という枠を飛び出して、「青春の1ページのサントラ」にまでなっていたからだと思う。

うん、まあそれもあるし、まだ新作が普通に出るような気すらするくらい衰えを感じなかったからだ。

悲しい。本当に悲しい。

彼の独特の音色は、一つのジャズ/フュージョンの「象徴」となった。その点では、 #マイルス・デイヴィス の「ミュート・トランペット」に比肩すると思う。

彼の魅力は多岐にわたるので、一つ一つを丁寧にひも解いてゆく必要があるのだが、きりがないので、ここでは彼の作る曲について。

彼の作る曲は、ジャズとかブルースとか土着的なものではなくて、どちらかといわなくても「ポップス」だった。そのあたりが、周囲が彼に期待する演奏スタイルとはずれているのがミソだった。

「カーリーに捧ぐ」などはとても情緒あふれる曲と演奏。まるでずっと泣いているような震えるようなヴィブラートを多用して、美しく歌い上げる。それがまったく嫌味にならないのは、彼の音色がさっぱりしているからだ。

他人の曲だが「セダクション」なんかも良い。美しいメロディにほんのりと香る土臭さが彼の魅力だ。そして、それくらいの割合が彼のいい塩梅なんだと勝手におもっている。

とは言っても速い曲「ハイダウェイ」も「アゲイン・アンド・アゲイン」もいいし「エニシング・ユー・ウォント」もいい。とにかく、文句ないのだ、このアルバムは。

そして、彼の唯一無二の音色。これこそ、神様が彼だけに与えた宝物。彼の音色は、風景が見える。これはいつの時代も変わらなかった。

このアルバムでは、ジャケットの水面のイメージ通り、学校の帰り道、ふと見降ろした夕焼けの河川敷の景色だ。

これからもずっと聞いてゆきたい。

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