月曜日の図書館 おじさんって
市役所での出張業務を終えて玄関の外に出ると、拡声器を持ったおじさんが2人で怒鳴り散らしている。耳をすまして(?)どんなに近づいても@#☆&$%*何を主張しているのかわからない。しかしもうひとりのおじさんはしきりに「そうだそうだ!」と合いの手を入れている。
仲間同士ならちゃんと伝わるのだ。
近くの植込みにはかわいい毒きのこが生えていた。写真を撮る。いつになったら梅雨が明けるのだろう。
ここ最近図書館に来るようになったおじさんが、毎日のように「本棚の間でしゃべっている人がいてうるさいから注意してほしい」とカウンターに言いに来る。
その度にフロアを見回ってみるが、しゃべっている人は見当たらない。というかそもそも人がいないときもある。
もうひとり、これまた毎日のようにやってきて大声で罵倒しながら歩くおじさんがいて、両者がバッティングしたらどうしようとひやひやしている。
聞こえない声でさえこれだけ神経をとがらせているのだから、あんな大声を聞いたら針が振り切れてしまうんじゃないだろうか。
いいかおまえら
よくきけよ
おまえらなんか@#☆&$%*
感染状況に合わせて、今後消毒作業をどこまで行うべきか話し合う。課長から徐々に減らしていき、やりたい人が自分で消毒するスタイルに変えていきたいという案が出て、満場一致で賛成かと思いきや、嘱託職員のおじさんが「もっと人員を増やして、むしろ今まで以上に消毒作業を続けるべきだ」と蒸し返す。
今は自分の他に作業する人がとても少なくて困っている。みんな他の仕事ばかりしている。
それは他にもやらなきゃいけない仕事が山積みになっているからだし、あなたが帰った後も他の職員が残業して本の返却と棚に戻す作業をしているのですよ。
と恐らく誰もが思ったが、おじさんの年齢と、元教師であるという経歴をふまえて誰も反論しないので、空気の読めないわたしだけが、一応ぼそぼそと意を唱えた。
前に似たような話し合いをしたとき、K氏が「図書館はメディアリテラシー教育の場でもあるのだから、感染対策についても安心“感”ではなくて科学的に本当に安心できる方法を選んで行うべきだ、推奨すべきは手洗いであって、本の(表面だけ)消毒をするのは単なるパフォーマンスにすぎないのではないか」と熱いスピーチをぶちかまし、それに感銘を受けたからこその反論だった。
きっとK氏も何か言ってくれるに違いない、と思ったが、数日前に打ったワクチンの影響が残っているのか、ただぼんやりと立っているだけだった。
この一年でいったい何冊の関連資料が増えたのだろう。手を伸ばせば触れられる距離に信頼できる資料があるのに、そこで働いているわたしたちでさえ、揺らいだり惑わされたりしてしまう。
危うくおじさんについても、感情的になりやすい生き物なのだ、と断定してしまうところだった。
リテラシー、リテラシー。
まずは請求記号3675の棚にある『おじさん図鑑』を再読して、エビデンスに基づいたおじさん像を学び直そう。
vol.80
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