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みみみ
2020年11月28日 10:09
うごめいている気配が2階にいても伝わってくる。数秒後には、ここも人が押し寄せてごった返すことになるだろう。なるべく密にさせないよう、素早くさばかなくてはいけない。腰を低くして、両手を前に構えると、T野さんからカンフーみたい、と笑われた。土日の開館直後は、席を確保しようと、大勢の人がカウンターめがけて突進してくる。相手が希望する席番号を言い終わるか終わらないかのうちに該当する席札を引っつかみ、よど
2020年11月21日 12:10
落ち葉がすごい。毎年こんなに降り積もってたっけ?とびっくりするほど道路に落ち葉が敷きつめられている。図書館のいわれが書いてある石碑の上にもこんもりと積み上がっているのを、わたしはスマホで撮った。道路の一画だけ、まるで重森三玲の庭みたいにぴっちりと掃除されているエリアがあって、どうしたかと思えばおじいさんが竹ぼうきで掃いているのだった。おじいさんは超絶スローな動きで、葉っぱをちりとりに集め、ごみ袋
2020年11月14日 10:19
海鮮丼を食べながら本を読んでいた。確か梨木香歩さんの本だったと思う。食べ進めてしばらくすると、カウンター越しに店主が話しかけてきた。ふだん何をして過ごしてるんですか。そうやって本ばっかり読んでるんですか。テレビとか何を観ますか。家にテレビはない、と言うと、軽蔑したような表情になり、え、じゃあ××が離婚したことももしかして知らないんですか、とたたみかけてくる。有名人らしいが名前すら知らない。今世
2020年11月6日 18:37
朝、図書館までの道を歩いていて、突然足の裏に違和感を感じた。踏み出すたびにじゅり、じゅり、と変な音がして、ちゃんと地面を踏みしめられない感じ。猫のうんこでも踏んだかなと思っていると、小さく痛みまで走った。観念して裏返して見ると、なんと画鋲が刺さっているではないか。引っこ抜いてまじまじと見る。つまみの透明なプラスチックの部分が、少し欠けて、朝日をきらきら反射した。今日は人生で初めて画鋲を踏んだ