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本棚が禁じられる未来
毎週木曜日は、読んだ本のことを書いています。
SFというジャンルを読むと、想像もしない発想に驚くこともあるけれど、ひょっとしたらそんな未来があるのかも・・と想像してしまえるような、とても怖い物語もあります。
それは往々にして、その作品が書かれた時代に考えられていた課題が発展しているわけです。そんなことを思うと、悪くするのも良くするのも人間の営み次第みたいなことかなぁと思っています。
華氏451度
レイ・ブラッドベリ
この作品のジャンルを意識しながら読んだにも関わらず、現代的な描写に没入し半ば恐れを抱きながら読み進めました。
本が禁止されてしまう未来の怖さを感じ、本の素晴らしさと力の強さを知ることとなりました。作り手が一生をかけた本もあるでしょうし、様々な本に接することで生まれる強い意志もある、そんな希望に気付ける良い作品でした。
本を読もう、もっと。
この作品は、妻が以前読んだのをおすすめしてくれたものでした。僕は、全然知らない海外のSF作品ですが、SF界では名作として名高い、とても示唆的な内容でもありました。・・なんと言っても、そのテーマは「書物」であるということ。
主人公の仕事は、書を焼く焚書官・・なんとも信じがたい設定でしたが、書物が禁じられてしまう未来はあり得なくない気もしながら読み進めていきました。
荒唐無稽だと斜に構えてしまうのではなく、一つ一つの行動や設定は、現代に通じているような気持ちがします。便利さを追いかける、効率を上げる・・。
物語で登場する現代的な技術は、創造の産物でもあるため、それは作家の調査や発想の豊かさを知るところですが、作家として訴えたいこと、そして作家が作家として生きている糧のようなものを垣間見るのでした。
未来的な発想もありつつ、この作品のテーマである焚書については、燃やすというある意味では原始的なやり方なのも怖さを引き立てます。業火を見事に描き出し、本から炎の熱が飛び出してくるような熱さを感じられました。
翻訳作品らしく、理解しづらい表現もありましたが、日本でも少なからず身近な書物文化を前面に押し出し、本による本への警鐘という、ある種自虐的な物語に、目を開かれた思いでした。
この作品が書かれたのは、1975年、今から40年以上前なので、今となっては過去の未来予想図のような面白さもありつつ、ある意味では社会の動きの中で、正しい情報を伝えることの重要性と、メディアが信じられ続けることの難しさを感じるのでした。
この話を書きながら考えたのは、この作品が読まれることで、本を大切にしよう、もっと本を読もう、そんなふうに思う人が増えたのではないかということ。
だとすると、自虐的とも思える物語は壮大なキャンペーンだったのかもなんて考えるのは、・・本の読みすぎでしょうか。
圧倒的な本棚のサムネイル、infocusさんありがとうございます!こんな本棚ができるまでには長い時間がかかりそうですが、我が家もそろそろ「蔵書」みたいな価値が家にあってもいいかなと思い始めています。
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