【イギリスのお菓子】サリーラン
イギリスの南西部にあるバースには、二つの郷土菓子パンがあります。
ひとつめは、バース・バン
そして、もう一つが
サリーランです。
この二つのお菓子パンに共通するのは、
イーストを使ったブリオッシュ風の柔らかいパンであること。
ほんのりと甘い。
ジョージ王朝時代には、お家柄の良い方々の家で朝食やお茶の時間に作り立てが食べられていたこと。
丸くて背の高いサリーランは、
横半分にスライスして、グリルかトースト。
フィリングを上にのせていただきます。
サリーランの由来は
このようなお話です。
16世紀後半に、フランスから宗教難民としてイギリスにやってきた女の子(フランス名:Solange Luyon)がバースのパン屋で仕事を始めました。彼女は、フランス風の卵とバターをふんだんに使ったふんわりとしたパンを焼いて、それがバースの人たちに人気となり、彼女が現地で呼ばれていた英語名(の発音)にちなんで『サリーラン・バンズ』と呼ばれるようになりました。というのが、一説。
バース・バンと共通しているのは、
イーストを加えた生地で作るふわふわとしたパン生地。
どちらのレシピもイーストを使った柔らかなケーキ風のものが、次第に朝食用のパンへ変化していったのではないか。と考える歴史研究家もいます。
食文化研究家のローラ・メイソンは、『Solange Luyon』に関する記録は20世紀以前には見当たらず、この物語は作り話なのではないか?と、考えています。
とにかく、バース・バンとサリーランが、バースで古くより人気のあったローカルフードであったのは、間違いありません。
サリーランズ イーティング・ハウス
郷土菓子として知られるこのパンは、街中にあるティールームで楽しむことができます。この建物の歴史は古く、地下にはローマ人がバースに暮らしていた時代の形跡もあります!さらに興味深いのは、地下から発見されたハーブのような香りのある葉を細かくするためのすり鉢らしき道具の一部が発見されたこと。これは、この場所がローマ時代に食べ物の調理場所として使われていたことを示しています*¹
今、現在ある建物も、1482年に大改修がされたことが分かっており、かなり古いことで知られています。
イーティングスペースは、古めかしいコテージ風の1階。2階と3階は少し広めなので、ゆっくりと食事をしたいときは上階の方がいいかもしれません。
1階には、道に面した部分に出窓があって、田舎のコテージ風な古い建物がそのまま生かされた店内です。
3階に行くと、雰囲気がガラッと変わる。ジェーン・オースティンがバースに住んでいたジョージ王朝時代風なデザインになっています。
地下は小さな博物館。サリーランがパンを焼いていたとされる当時の薪オーブンが展示されています。地下へは小さな階段で繋がっています。食事をした後にぜひ立ち寄ってみてください!
バースの観光名所ともいえる、素敵なティールームです。
【参考文献】
Laura Mason and Catherine Brown 「The Taste of Britain」
*¹ 山口もも『英国お菓子めぐり』」
ジェイン・オースティンと「説得」の情報はこちらから!↓
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