『料理綱目調味抄』(16) 雜の部(塩鳥・凝豆腐・凝餅・鰹節など)
塩鳥
雁、鳧の肉ばかりを塩して、昆布に包、壺に入置ば、かはかず。歴 月て生鳥のごとし。骨は當座に可 用。塩鳥、如常なるを料理する時、桶にぬる湯を入、そのまゝ鳥をほとばして、皮めのくつろぎたるをとりあげて、生鳥のごとく、毛をとるべし。あつき湯にては、くさみとる。鳥の作りやう、なま鳥は平にうすく、塩鳥はちと厚く作るべし。うすきは、煮てこはくなる。塩鳥、早く塩出には、ぬる湯に塩を手に一すくひ入べし。●●くれは古わたのごとくなる。
※ 「鳧」は、鴨。
※ 「歴 月て」は、月を歴て。
※ 「作りやう」は、作り様。作り方の意。
※ 「こはく」は、強く。
鮮鳥
一書、生鳥にて、六月迄持やう。毛を取、内をよくあらひ、水●なき様にして、味噌に漬入用。其時、みそ●を少し用ゆ。又、水●なき様にして、あらめをみそにてよくにて、腹へこみて、鳥の入ゝ程の箱、又、風ひかぬ●に仕置悪し。
※ 文意を汲み取れないので、誤読しているかもしれません。
魚の塩
夏日、鯛、鱸、保がたき時、魚を櫁、水●なき様にし、塩にまぶし、籠に入、塩のもるゝ様に仕置べし。又、身どりて ●●●● 糢糊おけば久しく保。又、夏の魚は、身とりて水酒等分にして、始より魚を入、焚立て、鍋を上●し置べし。𣏐子を入るは悪し。
凝魚
小鯛(焼て)、小鮒(炙て)、鰎(水に漬)、干鮭、鯃、鱆、串蚫、大根、牛蒡。鯉は、皷凝にも。
※ 「皷」は、味噌のこと。
凝豆腐
極寒の夜、湯をあつくして、豆腐を一挺廿四に切、茹て、竹の葉、簾に置、あめのごとくになるを、翌日あつ湯をかけて其後、数日ほして、かたくならば、糸につなぎ、風吹につりて置べし。
凝餅
奥列二本松より来。小く切、吸物によし。梅ぼし加。夏の茶請に、砂糖水に漬、冷して用。
※ 参考:『日本料理法大成(コゴリモチ)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
鰹節
土佐の小なるもの、先の曲りたるよし。いきかつほを製したるもの也。よく吟味すべし。
椎茸
日向の雪子、春子よし。●うす鼡色にて、うすく軸脇につく。熊野は、色黒く厚し。軸中につくはあし。料理に用とき、水に砂糖を加、茸を漬まはして用。又、茸の軸を赤土に水を灌ぎ、一夜植置ば、如 生成る。
※ 「一夜植置ば、如 生成る」は、誤読しているかもしれません。
麪條 戻
干白魚を一夜砂糖水に漬置ば、生のごとし。めざしも同断也。
塩鮎
戻には、器物に水と小砂を入、塩鮎を一夜埋置ば、なま鮎のごとくなる。すしによし。黒の大なるよし。
蚫
料理に用とき、具をはなし、よく/\扣て用べし。いせ貝は、めがいにて柔らか也。
※ 「扣て」は、叩いて。
海鼠
ふりなまこ、前に記す。一書、夏まで保は、ぬかみそに漬置べし。冬、久しく持は、土器をくだき、交置。又、酢に漬置。
菊花
●● 料理菊といふもの有。花を用。茹やうは、湯をたゝせ、花を手に二すくひほどつゝ入、少の間茹、いかきに上おのづからかはかして、糸くりを交、いり酒、わさびにて、さしみに用。
晡鮝
するめを刻には、よく/\煮やはらけて刻べし。其煮汁を料理に用べし。
※ 「煮やはらけて」は、誤読しているかもしれません。
熬鯛
ふくめ鯛とも云。皮の方、身方少炙り、むしりて、臼にて ●● く拌。又、むしりて、小骨を取て、ふくめてよし。
筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
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