読書 薬指の標本
小川洋子著
カバーイラスト 勝本みつる
新潮社
主人公は21歳の女性。
ある村の清涼飲料水工場で働いていた時に、事故で薬指の先端を失います。
その後、工場を辞めて街の「標本室」で働くことに。
元は女子専用アパートだった標本室。
223号室と309号室には、高齢の女性が住み続けています。
女性二人のかつての職業には、ある共通点が。
標本室は、地下室で作業をする標本技術士と事務員である主人公だけの職場。
そこへ、楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡などを携えた依頼人が訪れてきます。
主人公が働き始めてから一年後。
今は使われていない、青いタイルがきれいな共同浴場で、標本技術士から靴を贈られるのですが…。
発売された当時、電車に乗る直前に駅の書店で購入し、車中で読んだのですが、改めて計算してみると27年も前なのですね…。
その数年後。
一定期間暮らした住宅街に、古い洋風の個人宅を改装した小さな博物館があり、気になって見学に行きました。
音一つしない館内には、受付の女性がひとり。
なんとなく「薬指の標本」を思い出したような出さなかったような…。
標本技師はおらず、共同浴場もなかったはずです。
「薬指の標本」は、フランスで映画化もされましたので、鑑賞された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今度は、映画版についても書かせて頂ければと思います。
今日もご覧頂きましてありがとうございました。
みなさま今週もどうぞお元気でお過ごし下さい。