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鉄コン筋クリート(原作:松本大洋:監督:マイケルアリアス)【安心安心、シロの映画感想を読んでるとグチャグチャがフワフワになるのオススメの理由】

まだ紹介してなかったっけ?
いっけん複雑な話のように見せかけて、実はシンプルなわかりやすい話。
世界向けというか、監督がアメリカの方だからか、
とにかくグローバルスタンダードに寄せた分かりやすさがありながら、それでいて独自性やら個性とかきちんとある模範的なアニメ映画です。

ただ原作が松本大洋先生なので絵柄が松本大洋先生なんですね。
その点をクリアすれば他に問題は認められません。
今回はアニメ映画版を中心に紹介します。

***
あらすじは、
ぶっちゃけスラム街の宝町に住むふたりの浮浪児コンビ。
「ネコ」シロとクロが主人公組。

シロは、ボケ担当。明るさ担当。アートな精神を持ってるし面白おかしくする才能をもっている。いやそれが才能かどうかはともかく。弟的存在。

クロは、ツッコミ担当(でもないか)シロにあらゆる実務能力が無いのでチームの業務一切を担当するリアリスト。戦闘も強い。兄的存在。

この浮浪児コンビがヤクザ勢力との間にバランスを保ち、街の現状が維持されているという世界観。

ただイタチと呼ばれる謎の存在がいて、それはものすごい強さを持っているのですが、心を持たぬ冷酷な存在だとか。

シロの言っていることは独創性ありすぎてほとんど意味不明ですが、とりあえず弟的存在が兄にとっての生き甲斐になっていることは確かです。

しかしヤクザ勢力にもやばいのが出てきて、危険を感じたクロはシロを保護施設に突っ込んでしまいます。
弟の身を案じてのことで、あえての突き放しです。
クロは1人で戦うのですが、しかしこれが強い。
シロがいないとクロは無敵に近いほど強くなっていき、
ついにイタチが現れます。










あしたねたばーれ!










イタチというのはクロの別人格なんですね。
いわく伝説によれば、
「愛を忘れ、暴力だけを信じる頭が牛になっている餓鬼」

そしてイタチはクロに話しかけてきます、同一人物ですから。
「「一瞬だぞ、よく見とけ。闇の力だ。
光と闇を彷徨うお前が、もう一人の自分を導き出したんだ。
楽しもうぜ――――」」

闇落ちです。
確かに争いには勝てるかもしれないけど、これはもっとひどいことになる。

マジメな話、私もイタチにはご縁があると思うのです。
私も世が世ならヒトラーみたいな大量虐殺者になっていたかもしれません。
私も不幸でしたし、ぶっちゃけ今も不幸ですし。これから先も不幸のままでしょう。
だからこの世界を憎んでいますし、できれば人類には滅んでほしいと願っている。
良くも悪くもそんな権力はないですが、そうした力への信仰が、折れそうになる自分をぎりぎりのところでつなぎとめている。
おそらくアドルフ青年もそうだったのでしょう。
そういう人はとても多いと思うし、憎しみは本当のところ人間に必要な成分で、ああ見えて生きる力を与えてくれる重要な存在でもある。ただ、

戦いに勝つこと。
強さだけをただ求めれば、
いつか、そこに行きつく。
その結果、戦いで守ろうとしたものを、自分の手で壊してしまうことになるかもしれない。
いや、守ろうとしたものなんて、最初からなかったのかもしれない。

でも、このお話の場合、シロが戻ってきます。
ぎりぎりのところでシロが戻ってきて、
生きる理由を与えなおしてくれます。
守られている側が本当は守っていたんだってやつ。

でも注意してください。イタチはいなくなったわけではありません。
「いいか、忘れるな。右手の傷を忘れるな。俺は決して消え去りはしない。いつでもお前の中に住む。お前を守る………。お前を救う………」

闇の力を借りるなとは言いません。生きていくのに悪の力は必要。
ただその力を使う理由を無くさないよう、
あなたが守っている人の方をいつも向いていてください。
忘れて道を踏み外したりしないようにね。

このようにお話は人類共通不変のテーマを扱ったものです。
これはウケるよ。

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