自壊する帝国(著:佐藤優)【読書紹介よ。よくここまで私を追い詰めたな。だが最後に勝つのは私だ。連邦究極最終奥義!自壊拳大縛破!(あちゃあ)】
外務省のラスプーチンこと、佐藤優の大青春時代と言えば、
もちろんソ連崩壊期のソ連大使館員だった時代です。
その時代のことが、ニョキニョキ書かれている本。
いわゆる歴史学の第一資料に当たる本なんでしょうね。
アレクサンドル・カザコフという人物が何度も出てきます。
長年、何をやっているかわかりませんでしたが、
何年か前にロシアの下院議員になった時は、
佐藤優は大喜びでしたね。
友情に熱いんだなあ。
そのすぐ後にロシアは今の戦争に突入してしまい・・・
カザコフ先生は最近でも、ロシアのテレビに出たりしています。
すこし橋下知事みたいな役回りですね。
真正面から政権批判はしませんが、
「条件がこれだけそろったら勝てるだろうね」
という言葉を言外に含ませた状態で語る。
確かに頭が良さそうな人だなこりゃ。
話がそれてしまった。
時をソ連崩壊時に戻そう。
どうでもいいですが、佐藤優は顔がロシア人みたいな怖い感じの人ですが、
やっぱり彼の地で揉まれると、ああなるんですかね。
まあ、そんな人にも青春時代・・といっていいかはともかく、
いちばん輝いていた時代というか。
リアルは、意外とごちゃごちゃしていて、
色んな人が、ごちゃごちゃと出てきます。
ロシア正教の怪僧ポローシン。
ソ連共産党に殉じた誠実の人イリイン。
実は実直なソ連復活派ファシストの黒い大佐アルクスニス。
史実をそのまま書いてあるので、取り留めのないとこがありますが、
バルト三国独立舞台裏の事情とか。
同時代の裏事情がよく描かれているので、
歴史が好きな人には面白いと思います。
バルト三国独立時には、メッセンジャーの役割を期せずして果たしてしまい、ラトビア政府から勲章をもらってしまいましたね。
佐藤優本では、この本がやはり、いちばん内容が豊かですね。
カザコフ氏が、佐藤優を気に入ってくれて、
よくわかってない外国人なので丁寧に教えてあげるモードに入っていたのが良かったですね。
同胞だったら「この程度の話にもついてこれないのか」
と見切られてしまうところ、
外国人割引きで丁寧に説明してくれる。
これが読者への説明としても丁寧で分かりやすく嬉しい。
例えば、ソ連が嘘で塗り固められた体制だったという話。
意外なようですが、ソ連やナチスみたいな国の指導者や幹部は、
自国プロパガンダをまったく信じていません。
ああいうイデオロギーは情弱を奴隷にするための割り切った方便なので。
ヒトラーは、別に個人的には親しいユダヤ人だっていたし、
共産主義者も、幹部はブルジョアとして贅沢な暮らしをしているのです。
「騙される方が悪いだろ?」
という開き直りっぷりはすごい気持ち悪い。
近代合理主義の行き着いた果て。
これか!全体主義の気持ち悪さの正体は。
腑に落ちました。
他方で、ソ連では中央こそ統制が厚いけど、
地方は意外とスカスカで、反対派が堂々と生き残っていたりする。
正教で筋金入りの異端である「ラスコーリニキ」が生き残っていたり。
というか、黒い大佐アルクスニスもここの信者。
なぜか、佐藤優はそういう人たちに信頼されるんですよね。
エスピオナージというのは、損得勘定だけでは食っていけない世界です。
筋を通すというのが、暴力や裏切りがまかり通る世界では、とても大事にされます。
(これはマフィアとかヤクザの世界でも、そういうとこがあります)
また外交官はスパイの一種。
ただ外交官はスパイと違って、公式情報から堂々と情報を取って来る。
違法な手段ではないので、相手国から問題視もされない。
なんてのは、佐藤優が最初に説明してくれるところですよね。
今回は取り留めのない話になってしまいました。
引っかかるものがあれば幸いです。
追記::::
今日では、敵味方を違えてしまったのかもしれませんが、
向こう側のインテリの話も、本音が聞ける分野では面白いでしょう。
あとちょっとストック記事で特定のものが溜まっていたので、
ここ何週かばかり、特集的なものを平日に出していたのですが。
いくらか消費したので、また以前のバラ記事に戻そうかと思います。
週のテーマを固定してしまうと。
あんまり評価が伸びないかな?と思いました。
また佐藤優氏のことをとくに敬語つけずに書いてますが、
敬意がないわけではなく、
敬語をつけると、なんか文章が読みづらくなってしまうので、
敬称略で書いています。
不快を感じられた方には申し訳ありません。
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