見出し画像

今日も「橋本奈々未」という亡霊を探している。

かつて、乃木坂46で「御三家」と呼ばれ、多くのファンを魅了した、橋本奈々未(ななみん)。人気絶頂のタイミングである2017年2月に乃木坂46、そして芸能界を引退し、彼女が表舞台に出てくることはなくなってしまった。

「弟の学費のため」にアイドルを志し、金銭的な事情が解決したのでさくっとアイドルを引退してしまった彼女は、今もなおファンの心を掴んでやまないままでいる。引退した後もテレビに出たり、一度は引退したはずがまた戻ってきたり…というアイドルも多いなか、彼女は徹底して芸能界には姿を見せない。

彼女が引退した後でファンになったという人も多く(お恥ずかしながら、わたしもその一人である。もっと早く彼女に出逢いたかった。)彼女の消息や今に関わる噂はないかと、今でもその姿を探している人が多い。

そんな「乃木坂46の亡霊」ともいえる存在になってしまった橋本奈々未が、乃木坂46真夏の全国ツアー2022明治神宮野球場 東京公演最終日に現れたということで、SNSで大きな話題になっている。

配信に映り込んだ、関係者席でサイリウムを振る3人の女性の姿。
乃木坂46 1期生として人気を集めた高山一実(かずみん)と生田絵梨花(いくちゃん)の横に、もう1人女性が映っていて、この女性が橋本奈々未ではないか? と、ファンの間で大きな騒ぎになっている。

かずみん、いくちゃんはInstagramのストーリーで、かつての自身のサイリウムカラーの写真を上げていて、そこにはもう1人――ななみんのサイリウムカラー(緑×緑)。そして、3人で行ったはずなのに、Instagramに上がるのはかずみんといくちゃんの2ショット。

「もう1人はななみんじゃないか?」「もうななみんでしかないでしょう!」「あれ、この写真、かりんちゃん(同じく乃木坂46だった伊藤かりん)にも見えない?」「でもかりんちゃんなら自分もInstagram更新するし写真にも映るでしょ」と、ファンたちは大騒ぎ。わたしもその情報で、一喜一憂大騒ぎ。

ファンじゃない人、そしてかつてななみんを応援していた人たちの中には「もう引退したんだから放っておいてやれよ」「そうやって一般人のプライベートを追い回すのよくないよ」という意見が多い。至極当然である。

分かってる。
それはファンたちも、そしてわたしも、わかってる。
よーーーーーく、わかってるんだ。

でも、彼女の去り方が、あまりに美しすぎて。
彼女が残したものが、あまりに大きすぎて。
そして、わたしがもうこの世界にいない「アイドルの橋本奈々未」に、彼女が現役を引退してから心を奪われてしまったからこそ、もう二度と会えない亡霊の姿に焦がれてしまう。

アイドルの橋本奈々未にはもう会えないことはわかっていても、必死で努力して、輝いた姿を美しいまま終わらせてくれた彼女が、どうかどうか、自分の好きなことをして、自分の好きなものを食べて、お金に困ることもなく、幸せに生きていてほしいとつい願ってしまう。

「もう、私のことは、いい加減放っておいてほしい。だって、普通の女の子に戻ったんだから。」もしかしたらななみんにはそんな風に思われてしまっているだろうし、でも、もしかしたら、もしかしたらだけど「橋本奈々未の亡霊を懸命に探すファンたちの姿」を見て、(ばかみたいに勝手に応援してるファンが今日もこんなにいるんだな)なんて、どこかで笑っているかもしれない。

もう二度と会えないからこそ、より輝いて見えてしまう。
そんな亡霊の痕跡を、今日もわたし(たち)は探している。

もしも本当に、配信に映り込んだのが本当にななみんだったとしたら。

「今も乃木坂46を愛してくれてありがとう」
なーんて言っても、わたしは何目線だ?乃木坂46の親か?となるし。
「姿を見せてくれてありがとう」なーんて言うのもわたしは何の立場なんだ、って思われるのは重々承知なんだけど。

あれがななみんだったと信じて、
亡霊に焦がれるオタクとして、勝手にいわせてほしい。本当に、本当にありがとう。そしてあなたがそこにいたとして、放っておけなくて騒ぎ立ててしまって、ごめんなさい。

たぶん、これから先もわたし(たち)はあなたの亡霊を探して、橋本奈々未というアイドルを勝手に愛して、生きていくんだと思うけれど。
あなたのプライベートを詮索したりしたいわけではないので、もし騒ぐファンを見かけたら「あー、勝手にまた騒いでるな」と鼻で笑いながら、どうかしあわせに生きていってほしいです。

「人は、必要なときに必要な人に出会う」
必要なときにあなたに出逢わせてくれた、あなたを知ることができた、そんな事実に救われたオタクが、今日も勝手にあなたのしあわせを願っています。

本当のあなたを知らない、誰か知らないやつからそんな風に思われても重いよね。そして怖いよね。それもわかってる。わかってるうえで、勝手にしあわせを願って、一方的に救われてるオタクのこと、ななみんだけはどこかで「ばかだな」って、笑っててほしい。

どこかで今日も推しがしあわせに生きている。
ただそれだけで、救われるオタクがいるんです。

いいなと思ったら応援しよう!