mojo_sugiyama

1954年生まれ デジタルハリウッド大学・学長 11歳から音楽を聴き続けている。

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1954年生まれ デジタルハリウッド大学・学長 11歳から音楽を聴き続けている。

最近の記事

SSoM-57 The Modern Jazz Quartet

昭和30年代、ラジオでは飽き足らず、ステレオでレコードを聴く人が増えてきた。その頃、ラジオチューナーとアンプとレコードプレーヤーとスピーカーが一体となったオーディオ機器をステレオと呼んでいた。 人々はステレオで、クラシック音楽を聴くことが主流だったけれど、ジャズにも目覚めていく。掛け渡しになったのは、MJQことThe Modern Jazz Quartet だ。日本で凄い人気だった。 僕もヴィブラフォンの音に魅了されたひとりだった。小学生ながら、これがJazzサウンドなの

    • Tweet-7 Qobuz

      2023年12月、日本で音楽ダウンロードサービスとして人気を博してきた e-onkyo が、フランス発の高音質音楽配信サービス Qobuz (コバズ)に吸収され、Qobuz が日本で始まることになっていた。 僕は、長らく e-onkyo を使ってきたので、そのままデータは移管されるということで、Qobuz のサービスインを楽しみに待っていた。しかし、すぐにデータ統合の問題が出たと発表があり、ただただ、ずっと待っていた。 なまじコンピュータを知っているので、あるシステムを育

      • SSoM-56 Yo-Yo Ma

        秋が深まり、チェロの音を聴きたくなった。迷わずピックしたのは、Yo-Yo Maの Six Evolution- Bach Cello Suites、バッハ:無伴奏チェロ組曲だ。 チェロ演奏でもっとも難曲とされている組曲。Maは、この曲を10歳から毎日練習してきたという、そして弾くことにより、様々な感情に対処できたとのこと。 100枚以上アルバムをリリースしているMaにとって、生涯3枚目の無伴奏。1955年生まれ、リリース時63歳、まさに集大成とも言える音色が展開される。

        • SSoM-55 Fievel is Glauque

          Fievelって、An American Tail (1986)の主人公の名前だ。ロシアからアメリカに移民するユダヤ系ネズミのストーリー。スピルバーグ・プロデュースの素晴らしいアニメーション映画だった。Glauqueはフランス語 、groomy とかmurky の意味らしい。面白いバンド名だ。 Fievel is Glauqueは、マルチ楽器奏者Zach Phillips と歌手Ma Clémentのデュオだ。二人はBurusselsで出会い、NYCとBurusselsを

          SSoM-54 Kaze Fujii

          2021年12月31日、藤井風が紅白歌合戦に初出場した。それまでネットだけで聴いていたから、大きなステージでの彼を観るのは初めてだった。「きらり」と「燃えよ」の持ち歌も良かったが、その後、紅白の恒例で他の出場歌手の応援で藤井がグランドピアノを弾いた。これが素晴らしい生演奏で釘付けとなった。 藤井のアルバムはすべて聴いてきた。オリジナルが凄いのは言うまでもないが、カバーアルバムが味わい深い。70歳の僕が懐かしいと思う青春の名曲の数々。選曲のセンスの良さに脱帽。そしてアメリカの

          SSoM-54 Kaze Fujii

          SSoM-53 Whitney Houston

          Whitney Houston は、1987年のセカンドアルバムWhitneyの2,000万枚という驚異的ヒットで、完全にスーパースターとなったが、黒人コミュニティからは、激しいバッシングを受けていた。あまりに白人のポップス寄りの音楽と歌い方だというのだ。このことでWhitneyは深く傷ついていた。 さて、Whitneyの難曲は、現在でも、The Voice、AGT、BGT、American Idolなどのオーディション番組で、挑戦者が取り上げている。皆さん、非常に上手に歌

          SSoM-53 Whitney Houston

          SSoM-52 Mao Fujita

          クラシックミュージックの世界で、年1回ぐらいレコーディングをして、各国のローカルの交響楽団に呼ばれながら、ソリストとして食べていけるミュージシャンって、世界で何人ぐらいいるのだろう?なんだかんだ言っても、世界各国に素晴らしいソリストたちは大勢いるよね。 秋の夜長、ピアノを聴きたくなり、ピックアップしたのが藤田真央。10代の時から、国際的コンクールで名を上げて、ソリストとしてのレールに乗ったピアニストだ。現在25才、これから半世紀以上の活躍が期待される。 藤田の新作 72

          SSoM-52 Mao Fujita

          SSoM-51 RIP Quincy Jones

          11月3日、Quincy Jonesが91歳で亡くなった。70年間のキャリアで、28回のグラミー受賞、80回ノミネート。数々のプロデュース作品を世界的な大ヒットに導いている、なんていう紹介じゃ失礼だと思う。 Quincyは、ポピュラーミュージック全体を、その卓越した音楽センスと類稀な編曲能力で、関わった作品が自ずとアートとして後世に残ってしまうレベルに押し上げた偉大な音楽家だと思うのだ。 小学生のある日、AMラジオから、いきなり何の楽器かわからない音で始まる、とにかくカッ

          SSoM-51 RIP Quincy Jones

          SSoM-50 Joe Hisaishi

          Sound Scape of  Mojo 記念すべき50枚目はRoyal Philharmonic Orchestra によるスタジオジブリ作品の音楽。指揮編曲とピアノは、久石譲だ。 久石は、気を衒うことなく巨匠たちが確立した交響曲の編曲手法の上で、ジブリの楽曲を美しく展開する。スタンダードでオーセンティックな仕上がりが、心を物語の世界へ自然に誘ってくれる。 次々とそれぞれの映画のメインテーマが流れる。現代人のタイム感でも飽きることはない。 A Symphonic Cel

          SSoM-50 Joe Hisaishi

          SSoM-49 Koki Nakano

          パリを拠点に活動を続ける作曲家・ピアニストの中野公揮のニューアルバムがリリースされた。現代音楽というと、XGのIYKYKじゃないけれど、わかるやつにしかわからない、If You Know, You Know という感じで、一般大衆から距離を置いていることが多い。 2022年リリース Oceanic Feeling から聴き出した。非常に丁寧に作曲されているという印象かつ聴きやすかった。12曲45分、短い曲の中に散りばめられたディテールは、ポピュラーミュージックとは異なる音楽

          SSoM-49 Koki Nakano

          SSoM-48 Spiral XP

          エレキギターとアンプを買って、電源をオンにしてジャカーンと音を出す。あれ、冴えない音しか出ない。それが現実。そこでエフェクターの登場だ。コンプレッサー、フェーザー、ディストーション、ディレイを繋いで、ギターを掻き鳴らしながら、幾つものツマミを回していくと、いつしか気持ちいいサウンドが現れる。覚えたてのコードをジャカジャカ弾くと、そこにロックミュージックが出現する。 Spiral XPは、シアトルのバンドだ。インディーズでオルターネイティブとでもいうのだろう。彼らのファースト

          SSoM-48 Spiral XP

          Column-11 Fancam, XG, Juria, Hero

          この秋、XGが世界ツアーの中で、米国の主要都市を回っている。ライブが終わると、数時間後には、FancamがYouTubeに上がってくる。楽しい文化が出来たものである。 スマホカメラの進化により4Kや8K映像の時代、手持ちにも関わらずブレ補正で安定した絵が撮れるいる。ただ音に関しては、ライブでの音圧が高いため、まともに録音できないことが多い。しかし名人はいるもので、常にステージ近くの位置から、絵も音も良い動画をアップしてくれる方がいるのだ。 XGのライブでは、7人のパフォー

          Column-11 Fancam, XG, Juria, Hero

          SSoM-47 Dawn Richard

          独創的なダンス表現と現代美術的なアートディレクションでMVの世界に新たなインスピレーションを与えてきたDawn Richard。多くのファンが underratedと言う。本物過ぎるのだろう。確実にプロフェッショナルコミュニティに影響を与えていると感じる。そういう意味では時代の先端を走っているアーティストと言えると思う。 Dawn RichardのMVは全部見る価値がある。MVを完成した作品と受け止めるファンが多いのも納得できる。ひとつだけ2015年の ‘Titans x

          SSoM-47 Dawn Richard

          SSoM-46 The Jazz Avengers

          天才女子高生ドラマーと言われた川口千里も今や27歳だ。強い叩きから生まれるサウンドは格別。贔屓目無しに、現在世界トップクラスのドラマーだ。川口がレギュラーメンバーとなっているのが、The Jazz Avengersだ。 このバンドにはFunkの女王Juna Seritaがいる。JunaのBassとSenriのDramのリズム隊は、海外のオーディエンスから絶賛だ。紹介するのは、セカンドアルバム、 8 Steps 全10曲、メンバーひとり一人が1曲づつ提供、2曲は全員で合作と

          SSoM-46 The Jazz Avengers

          Column-10 Spain

          多くのミュージシャンに愛される曲は多々あるが、挑戦する価値があると見做されている曲に、Chick Coreaの‘Spain’がある。 僕もギターで主旋律をコピーしてみたことがあるけれど、正確にリズムに乗せるのが本当に難しい曲だ。 まずは原曲。1973年のアルバム‘Light as Feather’の最後の曲。 Spain では、カバーを紹介。早いパッセージが続くメロディは高い基礎力がある歌手しか歌えない。 1996年NHKのBSジャズ喫茶での、しばたはつみ44歳のとき

          SSoM-45 Lady Gaga

          2024年秋の話題作、映画「Joker: Folie à Deux」のサウンドトラックではなく、作品にインスパイアされて作られたアルバム Harlequin Tony Bennett との共演以来、歴史的なアメリカ音楽のメインストリームに居座る実力を示し続けているLady Gaga、このアルバムでは、往年のミュージカル楽曲に、2曲のオリジナルが加えられている。 映画「A Star is Born」での演技で、まさにハリウッドスターとなったLady Gaga、劇中歌の‘

          SSoM-45 Lady Gaga