自分の価値が分からなくなった主婦が、SDGsを家事に取り入れたことで、家事も自分も好きになった話
「おかしい。何かがたりない」
毎日一生懸命に家事をしている。それなのに心が満たされない。2021年5月、リビングのいつもイスに腰をかけていた私は、「この感覚は何だろう」となやんでいた。
激動の教員生活をやり切った私は、結婚を機に退職。4月からゆったりとした専業主婦ライフを満喫するはずだった......。
しかし、待っていたのは予想外の展開。
「私はだれかの役に立っているのかな?」
「そもそも、必要とされている?」
「社会とのつながりを感じられない」
確実に平和な日々に文句なんて言ったらバチが当たるだろう。けれどもまちがえなく、心は「さみしい」「むなしい」という感情でザワザワしている。それと同時に、家事へのやる気も、自己肯定感も下がりはじめた。
「ピンポーン」
ある日、田舎の祖父母から手作りの野菜がダンボールいっぱいに届いた。
「わあ、こんなにいっぱい!うれしい!とはいえ、おじいちゃん、おばあちゃんは一体何人家族だと思っているのだろう。入れすぎなのもかわいいけど......」
思わずツッコまずにはいられない量のじゃがいもや玉ねぎ。しかし、それと同時にある疑問が頭に浮かんだ。
「あれ?野菜って体にいいのは知っている。どうして、体にいいのだろう。栄養や食べ方について、今まで考えたことがないな」
「もしかしたら、この現状を変えるチャンスになるかもしれない」と淡い期待をもった私は、野菜や食についての勉強をはじめることに。
すると、これが結構おもしろい!
・旬の食材は自分や環境にやさしい。なぜなら安くて、栄養価が高くて、環境負荷が少ないから
・日本で破棄される食品ロスの半分近くは家庭から出る生ゴミや食べ切れなかった食材
思わず「へえ〜」と言いたくなる知識がいっぱい。そして、あることに気づいた。
「あれ?もしかしたら、家事でSDGsに貢献できるんじゃないの?」
直感を信じてみようと思った私は、家事にSDGsを取り入れ始めることにした。なぜだろう。心がいつもよりワクワクしていた。
自分を変えたいと思って悩んでいるだけでは何も変わらない。まちがっていてもいいから、前へ進むために行動することが、次への挑戦につながったのだ。
「晩ごはんできたよ〜」
今日の夕食は、ピーマンの肉詰め。
「ピーマンも甘みがあって、おいしいね」
夫からも好評だった。
「実は、これ、いつものピーマンの肉詰めとちがうんだよね」
夫は「なんだろう」とつぶやきながら、香りをかいだり、味わって噛んだりしながら迷っていた。数分見守った私は、正解を伝えた。
「実は、ピーマンのワタとタネをすべてひき肉と一緒に混ぜ込んだんだよね。知っていた?ワタは緑の部分のよりも栄養価が高いんだって。のこさず食べてね」
「へえ〜。そうなんだ。全然気づかなかった」
今まではピーマンのワタとタネは迷わずゴミ箱へ。けれども、捨てるとゴミになるけれども、おいしく食べれば私たちの栄養になる。このように、一石二鳥の料理ができると「次は何にトライしようかな」とやる気もでた。
今まで家事は面倒だなと思っていたが、家事にSDGsを取り入れることで、自分の気持ちが前向きに変わっていった。
「お、今週は食材を使い切れた」
「旬のタケノコを使った炊き込みごはん、ホクホクしていておいしい」
新しい挑戦をはじめると、日々発見が生まれた。家、台所、スーパーマーケットは今まで変わらない。しかし確実に、毎日がたのしくなってきた。
とはいうものの、失敗もよくあった。微妙な味付けの料理が完成したり、野菜を使い切れずに捨ててしまうことも。
「あちゃ〜。ニラがシワシワになってしまった」
何か失敗しても、「次からは買ったらすぐに切って、冷凍保存しよう」という学びになった。今まではすぐに自分を否定していた私であったが、うまくいかないことも少しずつ前向きにとらえられるようになっていたのだ。
自分の家事が社会の役に立っていると思うと、すごくやりがいを感じた。心の中に「たのしい」「おもしろい」というプラスの感情が増えていた。それと同時に、家事へのやる気も急降下から少しずつ右肩上がりに。
しかし、また新たな壁が立ちはだかる。SDGsを学べるサイトがあまりない。
インターネットで検索しても
・情報が少ない
・具体的な事例がない
・農林水産省や環境省の内容は少しむずかしい
など、知りたいことがわからないジレンマに陥ったのだ。けれども、時間があった私。何度も読みながら、自分がわかる言葉に置き換えたり、例えたりしながら、どうにか理解できるまで落とし込んだ。
すると、その努力のおかげで前よりも知識が身についてきた。
気持ちが明るくなってきた私は、気分転換に友人とランチに。たのしくおしゃべりしていたら友人から、あることを勧められた。
「それ、おもしろいじゃん。何か文章にしてみたら?文章書くの上手そうだし」
その一言にビビッときた。
「たしかに!思い切ってやってみようかな」
帰りの車内でワクワクしていた私は、教員時代のことを思い出していた。自分が書いた文章に対して「文章が分かりやすい」「表現が温かい」と褒めてもらうことが多かったかもしれない。そう思うと、少し背中を押された。
次の日。早速、noteに記事を投稿。
「私が学んだことや感じたことをありのままに伝えてみよう。同じように学びたくても学べなくて困っている人がいるかもしれない。」
それから、だれでも簡単にできる「自分にもやさしい・社会にもやさしい・環境にやさしい」ことをテーマに発信をはじめた。
・旬の野菜の栄養や効能
・食品ロスに貢献するレシピ紹介
・エコなアイテム紹介
・フェアトレードなど言葉の解説
など、あまり知られていないが、実は身近にあることを取り上げるようにした。
けれども、あまり読んでもらえない。そして続けるほどに、
「こんな自分が発信していいのか」
「自分よりすごい人なんていっぱいいるじゃん」
と不安でいっぱいになった。
ところが、有機野菜について解説した記事を書いたある日。私のもとに、あるコメントが届いた。
「有機栽培について調べていたが、この記事を読んで、すごく理解できました!ありがとうございます!」
そんな風に思ってくれる人がいるのだとすごく胸がアツくなった。それからは、あまり記事の反応を気にするのをやめた。自分がインプットしたことを私なりの表現でアウトプットし続けることに......。
すると、予想以上の反応が。読者の方から「とってもおもしろかった」「すごく分かりやすい」「文章がやさしくて、心が温まった」というありがたいコメントが増えはじめた。
他人と比較するのをやめて、自分らしくあり続けたことが、こんなにうれしい結果につながったのだ。
おまけに、気づいたら、私は自分のことを好きと思えるようになっていた。
2021年7月。気候も夏らしくなってきた頃から、少しずつ自分で自分の気持ちを大切にできるようになった。小さな行動一つひとつが自分を変える未来につながったのだ。
「この麻婆茄子は大豆ミートで作ったよ」
「人参の皮にも栄養がたくさん入ってるんだよ」
など家族との食卓での会話が広がった。前よりも食卓での会話がたのしい。
専業主婦になって孤独を感じていたが、今は「自分を大切にしたい、社会を大切にしたい、環境を大切にしたい」という考えに共感して帰りに仲間にも出会えた。
家事にSDGsを取り入れたことで、私の毎日が楽しくなったのはまちがいない。
2022年4月、さらに信じられないことが起こった。『ふだん使いのSDGs』という電子書籍を出版したのだ。
本を出すという大きな目標に向かって行動できる自分になれたのが何よりもうれしかった。一年前、
「私はだれかの役に立っているのかな?」
「そもそも、必要とされている?」
「社会とのつながりを感じられない」
生きる目標を失っていた私も変われたのだ。
SDGsを取り入れることで、「そんなに自分が変われるの?」と疑問に思うかもしれない。けれども、「自分や家族を大切にしたい」「自分と同じように社会や環境を大切にしたい」と思えるようになったのは事実。
もし今あなたが、「自分を変えたい」「未来のために新しいことをはじめたい」と思っているならば、ぜひこの本を手にとってほしい。もしかしたら、あなたの未来が変わるきっかけになるかもしれないから。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
今回のストーリーに出てきた電子書籍はこちらです。
もしよかったら、手にとってみてください。
そして、今年中に第2弾を出版できるようにただいま挑戦中!
少しでもお役に立てるような一冊になるようトライしています。ぜひ、応援よろしくお願いいたします。
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