もうD2Cは死語。さよならD2C。
4月1日発売の「ブレーン」5月号は、ユーザーの心を動かすD2C特集。
その中の4ページ分で、ともコーラの古谷知華ちゃんと、HARKENの木本梨絵ちゃんと私とで「D2Cの現在地」について座談会をしました。2人は本当に素敵なクリエイターです。そして、みんな92年生まれ。とても楽しい時間でした。
ぜひお手にとっていただけるとうれしいです。
D2Cって呼ばないで
この座談会の中で、「D2Cってもう死語ですよね笑」と言ったのですが、もちろんD2C特集なので使われることもなくオクラとなりました。けれど正直、世間もすでにそう思っているのではないかなと思っています。
一昨年くらいから「D2C」という言葉が一気に使われはじめ、昨年はたくさんの本がでて、D2Cが「ビジネス手法」としてあまりにも擦られすぎてしまったように感じています。
そして、店舗を持たずにオンラインだけで販売することや、VCから資金調達をし、広告費につっこみ売上を爆速で上げるやり方、はたまたデザインの系統まで様々な解釈(誤解)が生まれ、それに倣って生まれたよくわからないD2Cブランドがたくさん生まれ、もう完全にカオスです。
そんなこともあって昨年くらいから、もうD2Cと呼ばれることも、一括りにされることも嫌になっちゃうなと思っていました。恥ずかしいから呼ばないでって。
じゃあD2Cって一体なんだったの?
私たちがDAYLILYをはじめる前、まだD2Cという言葉を知る前。私たちはその当時アメリカで人気だった「Glossier」や「Ritual」「Goop」などに夢中になりました。
単純にデザインがお洒落だからではなく、わたしたち(ユーザー)と距離がとても近くて、対等で、お友達のようで、つくる人もユーザーもみんなが楽しそうだったからです。サイトでもSNSでも商品でもそれを感じることができました。
それまで私たちのイメージする「ブランド」は、当たり前にすべてが完成されていて、毎日使っていても少し遠い存在で、私たちはお客様としてブランドが提供するものをただ享受してきました。
ブランドは良くも悪くも、ユーザーとの間に「上下関係」や「緊張感」を生みます。それは大きくなればなるほど、はっきりしていきます。けれども私たちの夢中になったD2Cと呼ばれるようになるそれらのブランドはそうではありませんでした。
とてもフラットで、身近で、いつまでも自分もその一員だと感じられるようなブランド。
私たちもそんな、対等で、楽しそうで、一緒につくっていけるようなブランドをつくりたい。そう思ったのを今でもよく覚えています。
以前のnoteにも書いた通り、D2Cの肝となるのはビジネスモデルではなく、「関係性」や「距離」だと私は今でも思いつづけています。
「ブランドをつくる人」「ブランド」「ユーザー」この3つの距離が近く、対等であること
残念なほどシンプルですが、これはやっぱり大企業から生まれるブランドにはなかなかできなかったことで、“fact(事実)を持った確かな個”から生まれ、身近なところからスタートするD2Cだからこそできることだと思います。
DAYLILY は台湾漢方薬局を営む父を持つ台湾人のYi-tingと日本人のわたし2人が漢方ブランドを、Glossier はVogueでスタイリストをしながら4年間、美容ブログを更新し続けてきた1人の女性がコスメブランドを、Haus はクリエイターと醸造家の夫婦が食前酒ブランドを・・・どれも強いfactを持った身近な個からはじまっています。
その上で、いつまでも距離が近く、対等であるために、できる限り直接コミュニケーションをとれる場(オンラインでもオフラインでも)をつくったり、中の人の顔がよく見えるようにしたり、崇高すぎない哲学や共感できる想い、「事実」に基づいたストーリーをしっかり伝えたりする。
手法として「直販だけで売る」とか「クラファンからはじめる」とか、それだけを切り出してやったところで、D2Cにはならないと思うんです。
本来のD2Cはとても魅力的でした。けれどもビジネス手法として擦られ、誤解から生まれたたくさんのD2Cもどきに溢れた今、D2Cは死語となり、その言葉とはもうさよならです。(今までありがとう!)
ブランドの成熟速度
ブレーンの取材の中で、「売上」についてどう考えているかという質問があり、以前、木こりの方に聞いたスギの話をしました。
小林: D2Cの捉え方として、広告費をかけて爆速でグロースして売上を一気につくるというイメージもありますが、危険なことだなと私は思っています。スギとかヒノキって、年輪の幅が等間隔だと良質材とされ、丈夫な建築物になるという話があって、ブランドの成長もそれと似ていると思うんです。広告費をかけたことによって急速に売上は上がるかもしれませんが、ブランド自体の成熟とは比例していないので、いつか脆さやひずみが生じてくるのではないか、と思っています。
ブレーン5月号より抜粋
デジタルやビジネス手法が発達したことで、売上を伸ばすスピードは変わったかもしれないけど、本質的なブランドの成熟速度は、いつの時代も変わらないと思っています。木と同じようにゆっくりで、すぐには大きくはならない。そして、急激な成長は、脆さやひずみを生むと。
ここ数年で生まれた数多くのD2Cブランドは、じっくり続ける覚悟がなければ、恐らくほとんどが淘汰されていくことでしょう。それは私たちも同じで、よりブランドを成熟させていくために、成長を急ぐのではなく、Sisterたちと共に探求し、楽しみ、より深みをだしていきたい、そう思っています。
昨年末に新たに立ち上げた、漢方に限らずヘルス全般をSisterたちと探求するメディアであり、サブブランド「Daylily Healthology」もそのためのひとつです。
わたしとEriとSisterたち
ブランドは創業者に似る
ブランドは創業者の性格に似ると思っています。良いところも悪いところも。
実際、DAYLILYも、私と共同創業者の好奇心旺盛なところも、大雑把なところも、コミュ障な(ソーシャルアクティブにはなれない)ところも似ていて、でも、今関わるたくさんのSisterたちがそれを補ってくれて、幅をだしてくれて、多様にしてくれて、DAYLILYは少しずつ変わってきているように感じます。それがとてもうれしいです。
DAYLILYがこれからもより近く、対等で、親しみと深みのあるブランドであれるように、現在、joinしてくれるSisterを探しているのでぜひチェックしてみてくださいね!
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美味しい漢方スープをいただきます!