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【詩】近づいてみたんだ
彼は一つの白い四角い箱 あるいは白い球に向かって首を垂れている
白い四角い箱も白い球も"真っ直ぐ"を表す
その彼の背中からは荘厳できめ細やかな翼が生えている
そこから"今"という"時"に合わせて変化する虹色の輝きが放たれる
その美しい輝きとあまりの高貴さに人々は多幸感を覚える
とある女の子がその過酷な眩しさになんとも耐えて 彼の翼に触れてその姿を目の当たりにした
彼はまったく箱にお辞儀
【詩】選ばれなかった選ばれしもの
ねえ 君には分かるんだろう
君には見えているんだろう
その完成された世界を
私には不合理に見えるその合理性を
頼む どんな支援でもする
だからこの世の中を美しく平易なものにしてくれ
やっぱ君はにこやかに駆け寄ってくれるんだな
それが君という存在だもんな
もはやどうも理解ができない
この世を貫く真実とは何なのか
はぁ なぜ君はこのような私を支援してくれるのか
なぜ私のような人
【詩】時間の差別はないな
人のあたたかさというのは
その人が風雪を耐え抜いた後にする仕草そのものだ
その人は特段際立ったことを言うわけでもないので
みんなはあっちの華のあるきれいなお兄さんお姉さんの方に行くだろう
ただ20年30年くらい経ったあとかは知らないが
そのかつての若者がひとり家路についた時に
凛と咲く一輪の花のもとで
その私を見守った先人の愛に気づくのだろう
早く気づけばよかったな
もっと知れ
【詩】抜けたあとはみなそれぞれ
泣きそう 泣きそうって あなたがよくいうから
私はちょっとそれが面白くて
ただ町を歩いているだけなのに
すぐ泣きそうっていうから
でもそれは決まって私が何かに喜んでいるときで
この人すぐに派生するんだなって思ったら
みんなが温かく見えるっていう
町の人へのとばっちりが私から出ていっちゃって
空は静かに、音を立てない
【詩】ピンからキリまで
平凡な正義主義を持つ人間はぶっきらぼうな顔をして私に全く話しかけてくれなかったが
最後の最後の方に
「人並みには頑張った方がいい」そう言った
激烈な平和主義を持つ人間は私に会って早々
ダッシュで駆け寄ってきて「休め!」と血相を変えて言った
私は人間の幅を垣間見た
そして私は海に出かけた
【詩】人間になっちゃった
大金持ちになれたらすごいし
20万を稼ぐこともすごい
10万を忙しく稼ぐこともすごいし
自らを守り部屋に籠ることもすごい
時としてくだらない笑いが出ることもすごい
フォーカスを少し遠くにしてみた
この突き抜ける青い天空の下では
みんな1人の人間になっちゃった
【詩】今日は少し長い詩を書いてみたいと思いました
今日は少し長い詩を書いてみたいと思いました
私が青年の頃
思想の行き詰まりで悩んだあの子は
日本の青年の機能不全と高度経済成長後の空虚を教えてくれました
私が少年の頃
親交が途絶えている間に亡くなった少女は
亡くなることの賢明さ(もちろん私は生きることを選んだわけですが)と世界の透明さを教えてくれました
僕が成人の今
桜は散ります
彼らや彼女らの遺産が
私の心を切なく締め付けま