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非現実的な夢

大学生の頃の夢は、国連職員になることだった。

といっても早稲田とか上智とか国際基督教大学などに在籍していたわけではない。
帰国子女で外国語がペラペラということもない。
国際関係、国際政治を学べるとはいえ、関西の三流大学で、国連職員になるなんてまず非現実的と言っていい。

毒親育ちは非現実的な夢や目標を持ちがちである。

親に非現実的な課題を押し付けられてきたからねぇ。

例えば小学校のテストが95点でホメられると思ったら、取れなかった残り5点について散々詰められた、なんてのはよく聞く話だ。
怒られないためには全科目ひたすら100点を取り続けるしかない。
いくら賢くてもそれは無理だろう。

ワケの分からない理由でヒステリーを起こす親の心を読まなければならない、というのもある。
論理が明後日の方向に飛躍するので、エスパーでもない限り読めるわけがない。

あとは子供の頃から削られまくったプライドを満たすための一発逆転狙いで、「ビッグになる」というやつだ。
「ビッグになる」と言ってビッグになったのは矢沢永吉ぐらいで、巷でそんなことを言ってる人は、大概が拗れに拗れたコンプレックスの裏返しで、まともなサラリーマンになるどころか、アルバイトすら続けられないのがほとんどだ。
そして自分もこのタイプだった。

非現実的な課題を与えられ、自身も非現実的な目標を持つようになると、世の中の非現実なものに魅かれるようになる。

月利数十%の投資詐欺や、億万長者も夢ではないというマルチ商法。
ブロガーで一生食っていくための情報商材とか、神や宇宙や龍とつながって夢をかなえる似非スピリチュアルなどなど。
一発逆転には丁度いいよねえ。
ねえわ、そんなもん。

それからカルトにもハマりやすい。
昔ならオウム、最近だと反コロナ反ワクチンのQアノンとか。
どちらも刑事事件を起こして潰れたけど。
残党はまだいるんじゃないかな。

カルトってのは簡単に言うと「俺たち以外はみんなバカ」という集団のことで、拗れた劣等感を解消した気分にさせてくれる。本当は解消されないけど。

大学で知り合った友人と自分は「俺たち以外はみんなバカ」で繋がっていた。
お互いのことを「凄い凄い」とホメ合い、「みんなと一緒が良いなんて何も考えてない証拠だし、他人の顔色を伺ってビビってるだけじゃん」とか
言って盛り上がっていた。

二人カルトだ。

他人の顔色を伺って…なんてブーメラン以外の何物でもないのだけど(´-ω-`)

その友人も毒親かどうかは知らないが、両親ともに教師で厳しく育てられたらしい。
それである日、二股をかけて彼女に振られた時に「男はそういう生き物なのに理解してくれない」と言いながら泣いていた。
それを見た自分は、さすがに「やべえ奴だ」と思って、我が身を振り返ることが出来た。
コイツの言ってることは全部コンプレックスの裏返しの自己弁護だ、そして同調している自分も同じ穴の狢だ、と気が付いて距離を置くようになった。

まあイタイ記憶だ。お恥ずかしったらありゃしない。

もちろん国連職員にはなれなかった。というかチャレンジすらしていない。

非現実的な一発逆転を狙う時は努力なんてしない。

心のどこかで非現実的なことが分かっているから。

そして幼児的依存心があるので一発逆転も人任せになって詐欺にハマる。

幸い自分は詐欺られたことはない。
マルチに誘われたことはあるけど、1個2,000円~3,000円もする石鹸を買う大学生なんていねえよ(笑)
それくらいの常識的な感覚はあったので助かった。

似非スピは精神科医やカウンセラーでもハマってる人がいるから怖いよねぇ。皆さんも気を付けてくださいね。

自分の人生を振り返っても、コツコツ努力したのは、現実的な目標があった時だけなんだよな。
自分の偏差値に合った高校受験、大学受験、働き出してからは簿記3級とか。

毒親育ちでない人は、自分に出来ることをコツコツやって満足できるらしい。
自分はどうかなあ?と見つめる日々が続いています。




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