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高屋敷坂
2023年9月9日 11:50
くもり硝子の小窓から三日月が ひっそり こんばんは犬のきば 鋭利につなぐ空のすきま 黒雲をてらす琥珀色のひかり夜空の切傷のように畏怖の念や威厳が心にふかく とけこんでゆく月はとても 優美であった
2023年9月6日 11:44
木枠のまどから早朝、秋の水風とともに、ねている私の顔をなでた。麦酒のにおいの排気ガス。やさしくゆれる機械の音。嫌なしらせに気づきしも、まぶたはとじたままでいる。なにも告げずに出ていくのは、小雪のおりたつ少しまえ。寂しくなって、悔しくなって、目頭がふつふつあつくなる。
2023年9月5日 11:12
秋ぐちに咲いている花よ、花よ。ほそ風にゆれて、たえ忍ぶか。水をふくんだ、透明な、水色の空のした。まだ、昨晩には咲いていなかった花よ、花よ。いつしか茶色の小山がそこにあり、かたわらに寝そべっていた花よ、花よ。なまえは覚えてはいないけど、幼子のつめのように、小さくうるおい、愛らしかった花よ、花よ。野花はやがて見向きもされず、下衆とともに冬をむかえ、また秋ぐちを待つのかい