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詩集 第6部

30
今まで書いた詩をまとめました。
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#帰り道

【詩】待ちひと

【詩】待ちひと

吹くかぜに
たばねた髪を
ゆらしている
格子から陽の
おちる影

せわしなく
愛想はかなた
仕度して
湯気をたちこめ
味をみる

ただいまと
近所の子ども
帰りつき
うつうつ待つわ
ひどいひと

【詩】ひざ

【詩】ひざ

曇り空した かけていき
いそいで帰ろ 午後六時
気持ちはさきに 足おそく
つまづきころぶ せまる黒

膝の頂点 やけどして
電流はしる 汗をかく
どくどくはずむ 進みだす
今はほっとけ 痛くない

【詩】車窓から

【詩】車窓から

雨あがりの 車窓から
追いかける影をみつめた
それは 藪のなかで
それは 長草のなかで
それは 稲のなかで
風をまとわせてついてきた

はしる車の影
座る私の影はなく
無人で走っている 車の影が
夕陽に照らされて 茶色くている
前方の硝子窓をみれば
雨がふってきた