リトルブラックドレスを纏う
映画 『ココ・アヴァン・シャネル』(2009)
を観ました。
1883年にフランスで生まれ、第一次世界大戦から第二次世界大戦という激動の時代を生きたガブリエル・シャネル。
当時の女性は コルセットで腰を締め付け、ビーズ、花飾り、羽、レースなどをふんだんに施したドレスや帽子を纏った華美な装飾こそが高貴な特権性を表明するとされていました。
そんな時代にシャネルは、それまで喪服にしか使われなかった黒の生地、ジャージ素材、腰を締め付けない動きやすいシルエット、ポケットなどを取り入れ女性用スーツを提案し、女性の社会進出に革新的な影響をもたらしたのです。
華美な装飾を削いだリトルブラックドレスを発表したのは1926年。
今から100年も前のことです。
この映画を観たあと、なぜか今の美容ブームが重なりました。
当時がふんだんな「装飾」を美として纏ったなら、今は「肌」を装飾することが美とされていると感じたからかもしれません。
歳を重ねると、知らぬうちに貫禄や凄みのようなものを纏います。
若さというベールは次第に剥がれ、その人の生きざまのようなものが表出します。
肌だけを表面的に纏っても、若かった頃とは違うわけです。
経験によって得た物の内側からの表出は、その人にしかない強みでもあり美しさにもなる。
どんな経験を自分に取り込むかでこれからの顔も変わるのです。
心を磨き続けることが、何にも勝るアンチエイジングになると信じたい。