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【読書感想文】 奇想天外なお嬢様による恋の暴走物語 『夏子の冒険』

ここ最近、何かと物議をかもす『都道府県魅力度ランキング』において不動の1位を誇る北海道。

自然、観光地、グルメ、スイーツどれもとても魅力的です。

白鳥の飛来数、直線道路の長さ、サラブレッドの牧場数、湖の透明度、温泉地の数、年間雪日数、セイコーマートの店舗数など日本一もたくさんあります。

そもそも面積が国内でダントツに広いのだから敵うわけがありません。

昔、一度だけ北海道を旅したことがありますが、やはり自然が美しく、食べ物も美味しくて素晴らしいところでした。

とある観光施設に置かれていた、訪れた人なら誰でも書けるメッセージノートをめくっていたら、よりによって私が子供の頃から憧れている某著名人になりすました明らかに自作自演の不純な書き込みを見つけてしまい、かんさわったことも今となっては良い想い出です。

初めての三島文学

本日は、『夏子の冒険』(三島由紀夫著)をご紹介します。

この作品は、私が初めて読んだ三島文学。

さすがにリアルタイムではないけれども、子供の頃にテレビで観たくだんの事件のイメージが強すぎて、長らく著者を敬遠していたのですが、歳を重ね、いろいろなことを知るにつれ印象が変わってきて、これなら気楽に読めそうだと手に取ったのがこの作品でした。

"歳を取ることの良いところってこういうところだよね"などと思ったことは余談です。

ちなみに、これは三島由紀夫の7作目の長編小説で、1951年に『週刊朝日』で連載され、同年に単行本が刊行されました。

1953年には映画化もされています。

奇想天外なお嬢様の冒険という名の暴走

この作品は、良家のご令嬢で容姿端麗だけれども自由奔放の夏子が、絶えず群がる都会の男たちに嫌気が差して北海道の修道院に入ると宣言したものの、向かう道中で出逢った青年に求め続けていた情熱を感じ、強引に行動を共にする物語。

お察しの通り、このお嬢様、かなり奇想天外です。

そしてこれは冒険というより、恋という熱に浮かされた暴走です。

しかし、世の男性はいつの時代もこんな女性にときめくのだろうな、という思いが頭の中を駆け巡りました。

一方で、夏子は男性的な本能の持ち主でもあるのだろうとも感じます。

それ故に、周りの人たちを振り回し続ける夏子の言動は、少なからず私には共感できないものでした。

ところが、ヒロインの座を奪いかねない勢いで新たな女性が鮮烈な印象を持って物語に登場してきた時には、夏子を応援している自分がいました。

そして、この冒険の結末は夏子らしさ全開の声を出して笑いそうになるくらいの説得力を持っていて、あまりの見事さに思わず心の中で盛大な拍手を送っていたのです。

そう、気づいた時には共感できないはずだった夏子の魅力に私もまんまとはまっていたのであります。

お嬢様…というか、著者の作家としての恐ろしさを実感した瞬間でした。

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P.S.

終盤で夏子のことを批評するくだりがあるのですが、それがある意味真理でした。

ただ、多くの読書家がそうするように、私も読了した本の感想をメモしていて、もちろんこの作品についても書いているのですが、そのことについて、読了直後の過去の私が心のおもむくままにこうしるしていました。

「でも、私が夏子でその発言を聴いたら、ブチ切れます」

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