【読書感想文】 悪魔というファンタジーな存在を介して人生を見つめ直す 『世界から猫が消えたなら』
猫、可愛いですよね。
丸っこくて、もふもふで、マイペースで可愛いですよね。
私は猫を飼ったことはありませんが、この世界のすべての猫が、食べて、寝て、遊んで、一生のんびり幸せに暮らしてほしいと願っています。
そんな猫がもしこの世界からいなくなってしまったらどうなるのでしょう。
考えたくはありませんが、私は哀しみのあまり、泣きながら紙に下手な猫の絵を描き続けてしまうかもしれません。
もしくは、妄想の中でひたすら猫を撫で続けてしまうかもしれません。
いや、猫という存在そのものが無くなってしまったならば、わけも分からず毎日を鬱々と暮らす羽目になるのかもしれません。
…恐ろしい。
猫はこの世界に必要不可欠な存在です。絶対。
人生の名言がたくさん散りばめられている
本日は、『世界から猫が消えたなら』(川村元気 著)をご紹介します。
余命わずかの30歳の郵便配達員の前に突然現れた悪魔と取引をする不思議な7日間の物語。
人生の名言がさりげなくたくさん散りばめられています。
ただ生きているだけなら、この世界はいらないものだらけです。
でも、それらが時として私や誰かを癒したり、楽しませてくれたり、笑わせてくれたり、様々な感動をもたらしてくれます。
私にとっては不必要なものでも、誰かにとっては必要なものかもしれないのです。
悪魔というファンタジーな存在を介して人生を見つめ直す
ただし、それを生かすも殺すも、糧にするのも毒にするのも私たちの器量次第でしょう。
この物語の主人公は、まだまだ先のことだと思い、実感が無かった自分の命の終わりを現実のものとして生々しく感じられた瞬間から、悪魔というファンタジーな存在を介して人生を見つめ直し、自分が生きてきた日々はかけがえのないものだったことを知ります。
そして、死を受け入れ、その時へと向かっていくのです。
何かを得るためには、何かを失わなくてはならない。
確かにそうかもしれませんが、失ったとしても本当に必要なものはいつか必ず自分の元に戻ってくるそうです。
主人公が最期の最期に失いかけた大切なものに気がつき、その人生を全力でまっとうしようと行動する姿に胸を打たれました。
それにしても、主人公の愛猫が可愛いかったです。
P.S.
ネタバレかもしれませんが、私も猫に「お代官様」って呼ばれたい。