【読書感想文】 もっと自分を大切にしようと思える一冊 『続 多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。 孤独も悪くない編』
元来、私は孤独を淋しいとは思わない性格で、むしろひとりの時間が無ければ息苦しくて生きていけない、となる人間です。
でも、学生の頃は、年齢が低くければ低い時ほど、クラスでは友達と一緒に居ないと惨めに思われるのではないか、という気持ちがありました。
そのため、時々、まったく乗り気じゃないのに友達のお願いや誘いを断りきれないという事態が発生し、困ったりしたものです。
ある日の学校の帰り、友人に、「生地を買いたいから手芸店に付き合ってほしい」と言われ、手芸に興味がないのになんで私が、と思いつつも断れず、渋々付いて行ったことがありました。
友人のお目当てのその店は大型店で、流石の品揃え。
興味のない私からしたら、未知の世界に足を踏み入れた気分で圧倒されたものです。
しかしながら、買い物がすんなり終わるはずはなく、友人はあれこれ迷いながら、延々と夢中で生地を選び続けていました。
一方、感心したのも束の間、すでに飽きていた私は、友人からさりげなくそっと距離を取り、仕方なく少し離れたところに壁のように並ぶたくさんの綺麗な生地をなんとなく眺めながら、友人の買い物が終わるのをひたすら待っていました。
やがて、あまりにも手芸に興味がなさすぎた私は、次第に、色とりどりの生地の様々な柄や模様を脳で処理できなくなったらしく、目が回ってきて吐き気を催してしまったのです。
その時、いくら淋しかったり、不安だったとしても、そのことにまったく興味のない誰かを道連れには絶対にしないと色とりどりの生地の壁に囲まれ、たったひとり、涙目で「オエェ…」とえずきながら心に誓ったのでした。
表紙の4コマ漫画に共感
本日は、『続 多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。 孤独も悪くない編』(Jam 著 名越康文 監修)をご紹介します。
前作が15万部を超えたという、パフェねこシリーズの続編。
"シリーズ累計25万部突破"と帯に記載されているのを見て、やはり皆さんの悩みは尽きないのだな、と思うと同時に、このシリーズの人気と期待の高さがうかがえます。
それにしても、表紙になっている4コマ漫画、私も身に覚えがありますが、共感する方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
これについての考え方ももちろん書かれてあります。
もっと自分を大切にしようと思える一冊
今作は、孤独や不安と上手に付き合うための考え方のヒントが68個書かれています。
前作から一貫していることは、物事に対する視点を変えるということと、他人はそれほど自分を気にしてはいないということです。
思えば私たちは、皆と仲良くしなければいけないとか、協調性が大切だとか、嫌なことやできないことから逃げてはいけない、嘘をついてはいけない、他人に迷惑をかけてはいけないなど、周りからはみ出すこと、ひとりでいることを良しとしない道徳観を子供の頃に教え込まれてきました。
確かに、その教えは人の道としては正しく、生きる上での基礎だとは思いますが、どうも私たちはそれに縛られすぎてしまっていて、頑固になっているようにも感じます。
世の中はとても複雑で、人生は思いも寄らないことの連続です。
正しさだけではどうにもならないこともあります。
それならば、時には肩の力を抜いて、自分を守るために適当にあしらうことも必要ではないでしょうか。
この本はそんなことを考えさせてくれて、もっと自分を大切にしようと思える一冊です。
ちなみに、私は特に"世の中のモヤモヤ"への考え方がこのご時世に沿った内容で心に響きました。
P.S.
前作では悩みを抱えていた白猫さんが、今作では悩みのエキスパート的な存在になっていたのが良かったです。
それから、あとがきにこの本の出版社さんの所在地周辺のことが書かれてあるのですが、そこは私も何度も足を運んだことがある場所で、尚且つ、この本の前、直近で読んでいた小説の舞台になっていた場所でした。
そこに出版社さんがあるとは露知らず、驚いたのと同時に、勝手にご縁を感じてしまいました。
まさに私にとって、"逢うべくして出逢った一冊"だったのかもしれません。