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「子どもは勉強が仕事」のおかしさについて

子どもは勉強が仕事なんだから、勉強しなさい!

この言葉を親や学校の先生に言われたことがありますか?

先日、未だにこの言葉を使う先生に出会い、
未だにガラケーを使ってる人に出会ったような気分になりました。

「勉強は子どもの仕事」

これを言われて育ったというあなたは、
それをそのまま信じて「いい子」として育ちましたか?

それとも「そんなわけあるかあ!」「何かがおかしい!」
と憤慨しながらも言語化できないというジレンマに苦しんだたちでしょうか。

後者だ、というあなたには、1つの僕からの解答を授けます。

といっても絶対的な答えではなくあくまで僕の解釈です。

今回は、
「勉強は子どもの仕事」がなぜおかしいのか、
に加えて、
「勉強は子どもの仕事」を真に受けて育つとどんな大人になるのか、まで考えていきたいと思います。

まず、「勉強は子どもの仕事」がなぜおかしいのかについて話していきます。

それは、
①対価が無いから
②選べないから

この2つです。

①の対価が無いから、ですが、もちろんのこと、子どもが勉強をして給料が発生することはありません。

「宿題をやったらおやつにしよっか」
「テストで100点取ったらお小遣いあげる」
などはあるかもしれませんが、

学校の授業に出席していれば、
大人のように固定給が出るなどということはありません。

このことに対して、
勉強をして身に着けたもので対価を得る「未来の自分」のために仕事として勉強をしているんだよ、
といった言説も見られますが、

それは少し苦しい言い訳のように僕は思います。

大人だって、今月の仕事の給料は20年後に振り込みます、なんて言われたらどうでしょうか。

そして2つ目。
選べないから。

これも「勉強=子どもの仕事」論に異を唱える上で大きな論拠になります。

大人は自分の仕事を選んでいますよね。

まあ、学歴や家庭環境、社会環境や自分の努力の多寡などによって、
「選ばされた」という側面もあるでしょうが、

表面上は自分で選択して今の仕事をしていると思います。

いっぽうで子どもは勉強するか否か、そして学校、勉強する教科や内容を選べません。

この大前提に立った上でもなお、
「勉強は子どもの仕事」と言えるでしょうか。

選択の権利が無い以上は、仕事と言って勉強を強制させる理由にはなり得ないと思います。

そうは言っても、勉強をしないと将来損をするのだから。
という意見もあるでしょう。

それはごもっともです。

しかしそれは社会システムが抱える問題であって、
子どもが「仕事だから」といって大人に勉強を強制させられる理由にはなりませんよね。

この2つの理由を踏まえると、子どもに渋々勉強をさせるために使っていた「勉強=子どもの仕事」論は、使用不可能になります。

しかし、だからといって子どもが勉強しなくていいなんてことにはなりません。

大事なのは、どのような動機づけによって子どもが勉強に取り組むか、
そして、「自分で選んでやりたいと言ったんだからやりなさいね」という方向に持っていくことだと思います。

破綻した無茶苦茶な理論で子どもに勉強させるのではなく、
如何に子どもに勉強のおもしろさを感じてもらうか、
そして自分で選び取れるようにしてあげるか、その環境を作れるかに掛かっていると思います。

加えて大事なのは、下手に「勉強はほんとはとっても面白いんだよ!」などといった付け焼き刃によって補強しないこと。

そんな嘘は子どもは容易に見抜きます。

面白い部分はしっかり感じ取れるように工夫し、
面白くないけれど、面白さに繋げるためには学ぶ必要があるところは、
しっかりとそれを伝えないといけないと思います。

どうやっても面白くないものを無理に面白くする必要はないのです。
正直に我慢も大事、と言う必要があると思います。

それをしなければ子どもは大人を信じなくなります。

最後に、「勉強は子どもの仕事だから」と言われて育った子どもがどんな大人になるか考えてみます。

もうここまでの話でおわかりの部分もあるかと思いますが、

「自己選択のできない人間」になるのではないでしょうか。

勉強する意味を子どもなりに考えることや、
適切な動機付けがされないままに、
納得はできないけれど大人が
「勉強は子どもの仕事」と言ってるから、
とりあえず従っておこう、という子どもは、

知らず知らずの内に、
自分で考え、自分の行動を選択するという機会、
そしてその自由を奪われていきます。

そうしてその考え方に慣れていくと、
勤めている会社の理念や上司の指示以外に、
自分の考えや意思を持たない人間になっていくと思います。

なぜなら自分で考えて選択する機会を与えられて来なかったから。

実際にいま、様々な子どもに触れる中で、
自分の考えを持たない子、
なんとなく考えはあるのだけれどそれを言語化できない子、
思うことがあっても自分のことを決められない子、
そしてどこか自分のことを他人事のように扱う子が、
多いような気がしています。

これはとても危険なことと思います。

僕ごときが警鐘を鳴らしてもあまり意味は無いかもしれませんが、

もし子どもがおられる方や教員の方がこの記事を読まれて、

普段子どもに「勉強は子どもの仕事」と言っていたら、

ハッと気づかれて、意識を変えるきっかけになればなあ、と思います。


小野トロ


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