ルカ・モドリッチの右アウトに乾杯!
キリスト教においてルカと言えば福音書ですが、
サッカーファンにとってはやはり、
東欧の魔術師ルカ・モドリッチですよね。
クロアチア代表、レアル・マドリー所属。
世界年間最優秀選手賞、通称「バロンドール」における、
メッシ、ロナウド2強時代に終止符を打った中盤のダイナモです。
そんな彼は、幼い顔立ちとは裏腹にメジャー大会(ワールドカップ、ヨーロッパ選手権)は通算で7回目の出場。
もう35歳になりました。
トッテナムの中盤を司っていた頃のことを思うと、なんだか切なくもなります。
そんな彼が、昨日の試合でも魔法をみせてくれました。
現在行われているヨーロッパ選手権、通称EURO。
グループリーグも佳境を迎え、続々と決勝トーナメント進出チームが決まっていく中、
モドリッチがキャプテンを務めるクロアチア代表は、
この試合で勝たなければ敗退が決まる、という状況にありました。
その試合で彼は、勝ち越しゴールとなる2点目を決め、チームを敗退の危機から救いました。
滅多に感情を表に出さない彼の雄叫びと、
「ゴラッソォォォォォォ」という実況アナウンサーの絶叫で、
午前5時の僕は目を覚ましました。
ゴール前約20メートルほどからの、右足アウトサイドから放たれた美しいミドルシュートでした。
彼の代名詞とも言える「右足アウトサイド」。
普段はサイドチェンジやロングフィード、スルーパスなどの際に繰り出される
彼の美しい右足アウトサイド。
日本でサッカーをしたことがある人なら一度は言われたことがあると思います。
「アウトサイドなんか使わずに、丁寧にインサイドで蹴りなさい」
確かにインサイドの方が正確に蹴ることができるというイメージはあります。
しかし、プロの、しかも世界最高峰の舞台では、
相手が寄せてくる一瞬、一歩、数センチが、勝敗を分けることがあります。
パスの出し手は、パスの受け手が1秒もロスすることなく瞬時に次のプレーに移ることができるようにキックしなければいけない。
つまり、スピンをかける方向やパスのスピード、強さなど細かいところで相手にカットされるか、得点に結びつくかが変わってくる。
彼のアウトサイドキックは、それを意識したプレイなのです。
左足インフロントで巻くよりも、右足アウトサイドの技術に自信を持っているから。
彼のアウトサイドは、美しい、おしゃれなだけではない、
理に適ったプレーなのです。
だから日本の自称サッカー指導者の皆さん。
「アウトサイドやヒールキックやトーキックなんて使わずに丁寧にインサイドで出しなさい!」
なんて言って真っ向から否定しないでください。
プレーの意図を聞いてあげてください。
意図があって、それが理に適っていれば、認めてあげてください。
それが結果的にミスとなり、失点につながっても、
それが相手を見下した気持ちや、目立ちたいという気持ちに由来するものでなければ、
認めてあげてください。
ルカ・モドリッチ。
彼は、アウトサイドキックという、一見おしゃれ、美しいという言葉で片付けられがちなプレーの有用性を、
僕たちに教えてくれる稀有なプレイヤーです。
トーキックや股抜きだってそうです。
決して「舐めプ」ではないのです。
理に適ったプレーなのです。
(ネイマールは知りませんw)
「一見無駄な余興に見えることも、極めて実利的なことがある」
サッカー界のルカは、そんな福音を僕たちに説いてくれているのではないでしょうか。
小野トロ
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