メメント・モリ★3【10冊読むまで帰れま10・7月⑦】薬物と倫理観の間で
「メメント・モリ」原田宗典【評価★3】
※評価は独断と偏見、5段階
高校時代に原田宗典氏の「十九、二十」を読んで以来、全く同氏の本を読んでなかった。そんな中、2013年に薬物所持で逮捕されたという情報を耳にした時、衝撃を受けた。
そんな原田氏が薬物逮捕明けに出したコラム、エッセイ集。「メメント・モリ」は「死を忘れるなかれ」という意味。
コラム、エッセイというのは建前で、よう大麻でキマッた描写や、パクられた時の様子を克明に書いており、興味深く読めるのは間違いない。
原田氏が乾燥大麻にガンギマリした描写を取り上げる。
実際に手を出してキマッた人のリアルな描写は、さすがと言わざるを得ない。
僕の薬物でキマッた時のイメージは、ガキの頃に見たイギリス映画「トレイン・スポッティング」のユアン・マクレガーそのもの。
映画内では、ダウナー系(アッパー系と2つあるそうだ)に手を出したユアン・マクレガーが床に仰向けに寝転がると、そのまま床が沈んで体がめり込んでいく描写があって、それが非常に印象的だったのを今でも鮮明に覚えている。
さて、これからが本題。
非合法の薬物に手を出し、そのラリった姿まで描写するのは作家の勝手なのだが、それを世に売り出して売り物にするのは倫理的にどうなんだろう。
実際に本を買った人が、どう思うのかを考えてたら商売にならないのは分かる。更生しなきゃいけない、というのも分かる。
だが、そこに果たして倫理観が介在する余地はなかったのだろうか。いやいや、そもそも倫理観が伴っていれば薬物に手を出したりなんかしないのだろうけど。
面白く読ませてもらったけども、後味は決していいものではなかった。でも次回作が出たら、買うんだろうなぁ。
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