サブカル大蔵経227石川淳『諸国畸人伝』(中公文庫)
『日本の名著』での本居宣長に対する石川淳の舌鋒鋭い批評に驚愕したことがあります。対象相手にこんな厳しいことを言う人が世の中にいることに、それか、評論とは昔はこれくらい厳しいものだったのかと。真っ当なプロレスを感じた。
では、石川淳の作品を読んでみようと、手にとったこの紀行文・伝記は、切れの良い文体と、その背景への穏やかな筆致。
自ら、松江、豊後高田、駿府、水戸、山形、伊那、塩沢、阿波、館山、新潟を訪ねる。その土地の人物と歴史を伝えていく。
渋い人選と地域。これこそ本当の