
【2024 読了No.61】安川康介著『-科学的根拠に基づく-最高の勉強法』(KADOKAWA)読了。
結論から言えば、勉強の推進ができるどうかにおいて最も大切なのは、方法論ではなくモチベーションということ。
この本の前半には、特別目新しいことは書いてない。私だってフツーにやっていることだらけだ。「アクティブリコール」は、要は単なる確認テスト。いわゆるインプットの後のアウトプット。フツーだよね。
中頃に出てくる「近接目標」と「遠隔目標」だって、近接目標とは「小さな目標」。よく言われているスモールステップ。
そんな風に「昔から勉強法は変わらないよな」と半ばシラケ気味に読み進んでいた私の手がハタッと止まったのは、「内発的なモチベーション」を推進する心理的欲求の部分である。人間の心理的欲求とは、「自律性」「有能感」「関係性」の三つである。
「自律性」とは自分の行動を選択・決定すること、「有能感」とは自分が何かを上手にできるという実感。「関係性」とは他人との関係と帰属意識。何れにしろモチベーションの維持には不可欠な要素だそうだ。
ここを読んでて、高校の担任の教師に半ば強制的に工学部志望を文系に「文転」させられた思い出がぶぶーっと吹き出した。
私はいわゆる中学受験界の「御三家」の一つの高校2年生で、運動系部活に燃えて勉強そっちのけになっていた。まぁ、よくある話でしょう?でも、引退後猛勉強して、赤点を取っていた世界史、古文、化学をクリアした。どちらかというと英語を含め文系に苦手科目が多く、逆に一番の得意科目は物理だった。数学も苦手ではなかった。工学部志望は間違いではなかったハズ。
ところが、担任は私に執拗に文転を迫った。
その担任は中年男性で、その強引さから逃げ出した私を、鞄とコートを持って追っかけきた。そして、地下鉄に迄乗ってきて文転を迫る。
私だって女子高生である。正直言って男性教師は恐くて、結局折れてしまった。ただ、最後の砦として、文系科目でも一番好きな日本史を専攻に選ぶことをその教師に伝えた。しかし、その教師は今度は史学科志望まで翻そうとした。
「渡辺さん、僕は君に○○大学を勧めたい」と言われた。○○大学は立派な(?)Fラン大学である。そこに行けって言われるだけでも、御三家の生徒には侮辱に近い。
でも、「侮辱だ」とは言わず、私はどうしても譲れないことだけを言い返した。
「その大学、文学部史学科無いんですけど。」そしたら、その教師は「でもねぇ。いい先生がいるんだよ」と返した。
彼は漢文の教師。漢文学が専門である。要するに、漢文学を専攻しろと言いたいわけだ。そこまで一人の生徒を自分の思い通りにしたかったのか?
この本に「教師が生徒の自律性・自発性を支援したり、生徒に選択肢を与えたりすることで、内発的なモチベーションが高まるという研究報告があります」とあった。この教師は、物理が得意で工学部志望という私の「有能感」を無視した上に、私の史学科志望という最後の「自律性」迄無視しようとした。
ここまでされたら、そりゃあ~学ぶモチベーション失うわな😡💢💢💢
それでも、一浪後、日本女子大の文学部史学科になんとか入れた。史学科志望という「自律性」は満たされたし、素晴らしい先生方にも出会えたので、大学では熱心に学べた。一旦は就職したが、もっと学びたいという気持ちが止まず、退職してバイトで塾講師をしながら受験勉強をして、東京学芸大学の大学院教育学研究科社会科教育専攻歴史学第一分野に入った。教育学研究科とは言っているが、学芸大院の場合、修士論文は教育関係ではなくても良かったので、純粋な歴史学の論文が書けた。修士課程修了後、新卒の形で今の予備校の日本史講師になった。徹頭徹尾、専門は日本史で通してきた。
年月が立ち、件の教師が中高の同窓会に来たとき、挨拶がてら「私を覚えてますか?」と聞いてみたら、彼は首を横に振り🙂↔️、「覚えてない」と笑いながら答えた。
日本史一筋でここまで頑張ったことさえ認めて貰えたら、心の痛みはかなり癒えただろう。でも、それさえも無かった。しかも、彼は笑っていた。心の痛みがまた疼いた。
心の痛みを癒すために、今さら工学部再入学❓️時間も金も無いよ🙅♀️でも、できることが一つあることに気づいた。
数学を学び直して、AIをアルゴリズムレベル迄理解することだ。大学行かなくてもできるはず。…幸い数学は副業の個別指導で中学三年生を教えられる程度の基礎力は健在だし、数検3級は既に持っている。先ずは数検の各級クリアを「近接目標」として頑張り続けようと思った。
過去の痛みを癒すためだけの勉強って意味あるのか?そういう迷いは確かにあった。でも、この本を読んでいるうちに、自分に欠けているのは「有能感」と分かり、この喪失感が常に私の学ぶモチベーションを弱めていたんだなと分かってきた。
「物理が得意だった」はともかく、せめて「数学は苦手ではなかった」という「有能感」は取り戻したい。そのための勉強はアリと感じるようになった。
ここで誓う🫡
2025年中に数検準2級と、最先端の科学知識を追うための英語力(この本は最後は英語力の重要性に触れていた)増強を目指して英検準1級に合格するぞ❗️と。
加えて、「勉強の仕方は昔から変わらない」ってことを生徒に小言みたいに言う代わりに、自分を実験台にして証明して見せるんだ‼️センセイ自ら頑張ってるゾ💪というメッセージ、それだけだって意味がある🔥