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記事一覧
短歌(2024年5月)
幼子が目に映るせかいのかけらをちひさきリュックにすくひ入れをり
わが足の地(つち)踏む草鞋のやうな音 遥けき昔もかく歩みけむ
(2024/7/15 神戸新聞文芸・入選)
きみがこぞ読みける物語のやうに永久(とは)なる旅をきみとぞしたき
短歌(2024年1月)
風過ぎて樹の形そのままに落ちた葉は薄青のたましいの抜け殻
ためらいなく席を譲ったあの人の綺麗な横顔が眩しかった
気まぐれにみた駅伝の走る音積み重ねていく音、心地よく
(2024/3/11 神戸新聞文芸・特選)
物語終わるも彼らの生は続くわが脳に2cm(センチ)ほど間借りして
わが身体(からだ)を成す細胞はぽろぽろと崩れてこの世の一部にもなれず
短歌(2023年12月)
蜜柑の木に烏飛び乗り烏珠(ぬばたま)の黒い瞳がゆれる昼下がり
(2024/1/15 神戸新聞文芸・入選)
寝坊してメイクも途中で出てきてもそれを遠慮なく言えるしあわせ
きみといる心ほどけるこの空間これがわたしのしあわせなのだ、と
電車にてスマホの画面にうつりこむ小さな雲らをぼうっとみつめる
短歌(2023年11月)
もう知らぬ街だと思ったふるさとは変わらぬ顔で迎えてくれた
よく夢にみるふるさとの道をまた歩いた日それもまた夢かと
声援でビリビリ揺れる家、我らと歴史を揺らした選手たち
大歓喜の日本一から一夜明け 空からも祝いのビールかけ
短歌(2023年10月)
雨の音だけが小さく響く朝靴音鳴らし瞼を閉じる
散歩中いつもの花壇覗き込み朝露光る葉に吸い込まれる
いつまでも胸の内にはめいっぱい駆け回るきみ撫でられるきみ
(2024/2/26 神戸新聞文芸・入選)
短歌(2023年9月)
魂の容れ物深く眠ってた 長かった、でもようやくここまで
見上げると複雑に絡む電線 幾多の営み日が落ちてゆく
四年ぶり友と再会するも雨 手をとりあって駅へと走る
通り雨仰げば太陽に照り映えて 大切な荷物抱えて走る
普通列車に揺られて帰る満ち満ちた心が零れて夜に浮かんだ
(2023/12/13 神戸新聞文芸・特選)
短歌(2023年7〜8月)
じっと地面見つめて歩く己という器の中を歩いているよう
でこぼこの地面を確かめるようにきみと歩いた道踏みしめる
(2023/10/23 神戸新聞文芸・入選)
カート引き歩く後ろでクシャクシャと枯れ葉あやめる音が聞こえた
鳴き尽くした蝉そこここに落ちていて翅だけ残し砕けゆく夏
短歌(2023年4月)
見上げれば枝切られた木の影濃くきみがいる気がした黄昏時
旅立った瞬間に間に合わなくて きみのたましい翳(かげ)りなくあれ
ひこうき雲私の澱(おり)を乗せ忘れ三つそれぞれの空へ消えた
短歌(2023年3月)
洗濯物干しつつ涙あふれ出す、乾かしてくれこの水分も
きみの写真毎日見ては宙を撫で 柔らかな毛並みのあのあたま
巣にこもり友らの日常垣間見るもはや雛鳥ではない我は
羽根ペンにインク吸わせてしたためるその文(ふみ)はきっと菫の匂い
届かぬとわかっていても祈る日々それが自己満足だとしても
恐竜たち戦いの末斃(たお)れゆくあの眼を知ってる 愛犬の、あの
隕石がおちて滅びゆく恐竜たち他人事(ひと