In and out (トカゲシリーズ 1)
赤いビーズの首飾りがふと、棚から落ちた。
キラリ。
そこから現れた男を知っていた。初めて現れたのは8歳の時だ。私は驚いて眉を吊り上げた。
「トカゲ❗️」
男は笑いながら、斜に被ったベースボールキャップを脱いだ。
「んだよごアイサツだなー」
彼は私のつくり出したものかもしれない。でも、そうならば、幼くして知る由もないことを私が知っていたことの説明をつけることは難しくなる。
彼は私の中のアニムスであり、同時に教育係でもあった。そんなとこだ。
「まあ、なんか飲ませろよ。タバコある