ヨルシカの花人局の歌詞について

ヨルシカさんの主に『花人局』の歌詞について考察しました。
歌詞には「」を付けています。

「さよならを置いて僕に花もたせ」は、花をもらうばかりで、花を返せなかった事を後悔してる気がしました。
「僕にひとつ、花を残して」は、
『強盗と花束』で貴方に上げたかった花が、貴方に渡せず手元に残ったのかなと。
僕から貴方への手向けの花が、貴方から僕へのはなむけになる。
はなむけの花を殘し、貴方は逝ってしまったと。


貴方が亡くなった事で、お墓に供える為の花を持たされる、という意味の「花もたせ」でもあると思いました。
故人(貴方)を偲ぶ気持ちだけ僕に遺して、貴方が去ってしまった
という気持ちが、「僕にひとつ花を残して」に込められてる気がします。

ヨルシカでのあなたが貴方なのは、「遺」という字の「貴」を連想します。
貴方の語源は彼方らしいです。
貴方が遠くの方(彼方)へ行った後に、何かが遺るのかなと。
『言って。』の逝った君への「もっと、ちゃんと言って」は、遺言が最後の言葉と思えない、紙じゃなく声に出して言ってほしいのかなと思います。


二日酔いは宿酔とも言います。
「二日酔いが残る頭は回っちゃいないけれど」を、
酔いを翌日に引きずる=貴方との過去を引きずる と取ると、
貴方との想い出がまだ頭に宿っている、という意味に思えました。


花束は本数によって意味が変わり、花束は一本だと「あなたが運命の人」という意味らしいです。
「僕にひとつ、花を残して」とあるので、生まれ変わりによる再会を示唆してる気がします。

花人局は美人局(つつもたせ)ではない、つつではない、不束(ふつつか)だと取れます。
花束(たくさんの花)ではなく花一つだけ、って事かなと。
二日酔い(ふつかよい)も、不束(ふつつか)と語呂が似ていますし。
「覚束ぬまま」とあり、花束を覚えていたかった、花束のようにたくさんの想い出を貴方と作りたかったのかなと思いました。


『花人局』と『花に亡霊』を関連付けます。
「浮雲掴むような花人局」の浮雲は、
「遠くの丘から顔出した雲〜君はそれを掴もうとして」(花に亡霊)の雲と同じ物なのかなと。

亡くなった貴方がひとつ残した花に、貴方の亡霊を見ているように思います。
「忘れてしまう前に花描け」(花人局)と
「僕は描いてる 眼に映ったのは夏の亡霊だ」(花に亡霊)は同じ場面だと思いました。
「春の匂いがする」花人局では夕焼けという暖かい色を待っていて、
「夏の匂いがする」花に亡霊では風という涼しいものを待っているのが、対照的だと感じます。


ヨルシカ前世2023で、狂い咲きの桜の話があったらしいです。
狂い咲きは帰り花とも言います。
帰り花には「遊女が再び遊郭に出る」という意味もあるので、
花人局「明日にはきっと戻ってくる 何気ない顔で帰ってくる」や、春ひさぎ(春を売る)に繋がりそうです。
狂い咲きは忘れ花とも言うので、忘れるというワードが多い花人局や春ひさぎ、花に亡霊に合う気がします。
左右盲で「亡れる」と書いて「忘れる」と歌っている事を踏まえると、
忘れ花=亡れ花=花に見る亡霊 なのかなと。

爆弾魔は加賀千代女「散れば咲き散れば咲きして百日紅」を引用してます。
加賀千代女に「春の夜の夢見て咲や帰花」という俳句があります。
帰花は狂い咲きという意味なので、
前世2023の「狂い咲きの桜」「百日紅」に繋がると思いました。



「花の雲」という春の季語は、一面に咲き連なる桜の花を雲に見立てた語らしいです。
「浮雲掴むような花人局」は、春泥棒MVみたいな「花の雲」を二人で見た想い出を持たされた、残されたのかなと。
花びらを一枚掴む事はできても、一面に咲き連なる桜(花の雲)は掴めない。
1番サビの「花もたせ」は、花をもたされた事
2番サビの「花人局」は、花をもたせた貴方の事だと思います。
「浮雲掴むような花人局」を花の雲のような貴方(妻)と取ると、
春泥棒で(妻の)命を桜に喩えた事に繋がると思いました。

「花開いた今を言葉如きが語れるものか」(春泥棒)と思う妻への、盗作おじさんの「言葉だけをずっと待っている」(花人局)だと思うと切ないです。


「浮雲掴むような花人局」の「掴む」には「遊女を呼んで遊興する。揚げる。」の意味があると辞書にあり、美人局に通じます。
「掴」は手へんに国で、
雲の上の天国の貴方に手を伸ばしたのかもと思いました。


雲が形を変えていくように、
ヨルシカのキャラも人から魚や花や動物へ生まれ変わっていくのかなと。
「浮雲掴むような花人局」は、記憶の中の貴方が雲のように形を変えていくのを連想しました。

以上です。