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水木三甫の心葉♡♧詩集

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心葉♡♧詩集では、心に感じたままを言葉に置き換えて表現した詩を掲載します。 まだまだ表現力不足で、うまく伝えられない未熟な僕ですが、進化していく姿を追いかけていただき、感想などを…
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#人間

宇宙は広がりつづけ、僕らは縮んでゆく(詩)

宇宙は広がりつづけ、僕らは縮んでゆく(詩)

空は細胞分裂を繰り返し
冬が一回り大きくなった
相対的に小さくなった僕らは
寒さという波に足を取られて
そのまま雪の海に引きずりこまれる
太陽に戦いを挑んで負け
雪にも敗れた僕らは
苦しみの山を築き
そこに穴を掘って時をやり過ごす
神は復活し
神を一度裏切った僕らは
新たな神の前にひれ伏す
その間も神は宇宙を広げ
僕らは縮んでゆく

寂しき風船(詩)

寂しき風船(詩)

何もない青空を
老いた風船が横切っていく
人間の欲望という手から逃げ出し
やっと自由になれたのも束の間
今度は空気圧と対峙するはめになった
しばらくすれば
人間からも青空からも無視される
ゴミ屑になることを
風船はすでに知っている

熱量(詩)

熱量(詩)

飛行機が鉄の重りを引きずりながら低空飛行する。
悲しみを失った海は、君の優しさを忘れたように、ウインドサーファーの体を飲み込んでゆく。
過去をいっぱいに積み込んだトラックが、ハイウェイの境界線を飛び出して炎上する。
君の悲しみは重さを失い、君は風に乗って次に根をはる場所を探す。
僕は君を失ったまま、公園の砂場を掘り続ける。戻って来るはずのない君が戻って来るのを期待しながら。
熱が空から降ってくる。

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無償の愛なんて(詩)

無償の愛なんて(詩)

本当の愛とは無償の愛だと言うけれど
無償の愛という言葉があること自体
愛には無償の愛以外の愛がある証拠じゃない?

神様の愛は無償の愛だと言うけれど
献金を求めたり規律を押しつけたりするのだから
神様だって見返りを求めているんじゃない?

人間なんて欲望の固まりなんだから
人間の愛に無償の愛を求めるなんて
最初から無理なことだと思わない?

私があなたを愛してるのは
あなたを所有したいという欲望が

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埋葬(詩)

埋葬(詩)

道なき道を人間の大群が押し寄せる
後に残されたのは舗装された道路だけ
埋葬された生物たちの死の世界

雪化粧(詩)

雪化粧(詩)

一夜にして地面は白一色に染まった
雪は空中の雑音を飲み込み
地上に積み重なっていく
白い静寂

汚れた大地を覆い隠しながら
雪は人間の欲望を飲み込み
徐々に高く積み重なっていく
白い純潔

目が覚めたとき
人は白い世界を見て
何を思うのだろうか
白い芸術

やがて積もった雪は人間に穢され
雪は黒く泥まみれになる
雪が溶け
雑音と欲望が目を覚ます
白い幻滅

それでも雪は降り続ける
白い平和を人間た

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妖怪(詩)

妖怪(詩)

ものごころがついたときから
他の人間とは違うと気づいていた
人間の中に交じっていても
いつも私は一人ぼっちだった
家庭でも学校でもいつも爪弾きにされた

私なんかいてもいなくても関係ない存在だった
どうすればみんなとおんなじ人間になれるのかわからなかった

その頃の私の願いはひとつだけだった
早く人間になりたい

お告げ(詩)

お告げ(詩)

もうすぐ太陽が地球に落ちてくるらしいよ
神様がそう言っていた
でもほんの一瞬で溶けてなくなっちゃうから痛みはないらしいよ

神様は人間を試そうとしてたけど
人間は全知全能の神様が思いもよらない行動をとってしまったから、
もう手の出しようがないみたいだよ

でも、もし僕が溶けて、ガスになって、宇宙の中でいろいろなチリとくっついて、違う生き物になったとしたら、それはそれで面白いかもしれないね

とにか

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人材(詩)

人材(詩)

誰でもが人材になれる時代って、
誰にでも代えられる人材ばかりいる時代ってことだよね?
辞められても困らない人材ばかりいる時代ってことだよね?

優秀な人のことを人材って呼ぶ時代は、とうの昔に終わったんだろね?

今じゃ誰もが人材だから、逆に生き残れない時代なんだろね?
会社に都合がいい人ばかりが人材なんだろね?

だから、人材に個性なんていらないんだよ
ただ、会社の命令に従って、上司の命令に従って

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尖った言葉(詩)

尖った言葉(詩)

尖った言葉が空中を飛び交い、体中を傷つける。

凹凸があるから世の中はうまくいくのに、凸ばかりでは突っつき合うのは当たり前のこと。

尖った言葉が飛び交って、心の中が傷だらけになる。

真綿に包んだ言葉なんて、一言だってありはしない。

傷つく前に相手を傷つけてやろうなんて、
いつから人間の心は狭くなったのか。

尖った言葉が飛び交って、世の中が傷だらけになる。

狭い心を持った人間たちが狭い心を

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夜(詩)

夜(詩)

東京の夜には闇がない。
真夜中に目覚めて気がついた。
窓を照らす街灯の光が殺風景な部屋を浮かび上がらせる。

幼かった頃の漆黒の闇を思い出す。
夜の暗さに怯えて、泣きながら母の布団に潜り込んだ。

闇はいつからか安らぎに変わった。
何者をも飲み込んでしまう闇の包容力。
闇は心の中の不安や焦燥も消し去ってくれる。
夜の闇は心を癒やす。

それなのに人間は、闇を明るくしてまで自分を傷つけている。
癒し

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