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水木三甫の短編小説よりも短い作り話

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自著の超短編小説(ショート・ショート)をまとめました。 ユーモアあり、ブラックあり、ほのぼのあり、ホラーらしきものあり、童話らしきものあり、皮肉めいたものあり、オチのあるものあり…
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#夢

白昼夢コスチューム《超短編小説》

白昼夢コスチューム《超短編小説》

電車に乗っていて、ふと気がつくと、まわりの乗客が老若男女、みんなアニメや映画の主人公や悪役の格好をしていた。

僕だけが普通の格好で恥ずかしくなり、寝た振りをした。

ちょっと記憶が薄れて、再び目を開くと、さっきまでコスプレしていた人たちが普通の格好に戻っていた。

どうやら夢を見ていたらしいお昼過ぎの出来事でした。

夢追い人(超短篇小説或いは長編小説の始まり)

夢追い人(超短篇小説或いは長編小説の始まり)

東京は夢の廃棄場所だ。

東京の街は叶えられなかった夢や、忘れられた夢、あきらめた夢で溢れかえっている。そんな夢のゴミ溜めに、それでも人々は競馬場に落ちている馬券の中から当たり券を探すように、まだ拾えるかもしれない夢を探しもがいている。

古い羽根を捨て去った鳥は身も軽く飛んでいくと言う。だから俺は10年暮らしたこの街東京を出る決心をした。しがみついた過去の夢をすべて捨て去って。

捨てられた夢の

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夢みたいな夢を見た(超短篇小説)

夢みたいな夢を見た(超短篇小説)

夢みたいな夢を見た。

僕は空を飛び回り、海深く潜り込む。
火山の噴火口から地球の中心目がけて、マグマの中を泳ぐ。
マグマの中では汗をかかない。汗がすぐをマグマの熱で蒸発してしまうから。
体の水分が全部抜けそうになったので、僕は噴火口から飛び出して、真下にある湖に飛び込んだ。気持ちが良かった。サウナってこういうもんなのかな。体中の皮膚が湖の水を吸収する。

突然僕はミジンコに変身し、僕の体の中を探

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小説家(超短編小説)

小説家(超短編小説)

文章が1行も出てこない。それどころか、さっきから一文字も書けていない。
今週末までに短編小説2つとエッセイ1つを書かなければいけないのに。
エッセイならば書けるだろうと、パソコンの前に座って1時間経つ。前回、小説のネタがなくなって困ったという話は載せてしまった。もう書くことがない。いつかこんな日が来るのではと恐れていたことが現実になった。
やはり自分は小説家の才能などなかったのだろう。運良く新人賞

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