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『苫野一徳 特別授業 社会契約論』を読んで

教育者であり哲学者の苫野一徳さんが、ルソー『社会契約論』をわかりやすく伝えてくれている本です。

(スクールカーストについても、学校内、クラス内で「社会契約」を結ぶこと…という中・高生との対話のなかで)

「まあ、社会契約なんていうと大げさに聞こえるかもしれないけれど、言いたいことはシンプルです。お互いを対等な人間としてリスペクトし合う。それだけをルールとして明示し、相互に確認しようというだけです。」
「ルソーも『エミール』で次のようにいっています。教育において子ども達に伝えるルールはただ一つすべての人を同じ人間として尊重せよである、と。そして、子どもたちには、そのような社会こそがよい社会であることを教えよと。これはまさに、社会契約を教えよということにほかなりません。」
「大事なのは、学校やクラスを、浮ついた“空気”に支配させないということです。わたしたちが平和で自由な共同生活を営むためには、はっきりした契約、ルールを共有する必要があるのです。小学校1年生くらいだと、先生がこのルールをわかりやすく、またやさしく教え、子どもたちはそれをお互いにしっかり確認する、というくらいでいいのではないかと思います。でも、2年生、3年生、そして高学年になるにつれ、このルールを文言を含めて自分たちで改めて考え直す機会が持たれるべきだと思います。」

ルソーの『社会契約論』は、みなさん学校で学んだことがあると思います。まさか、こんなに大切なことが書かれていたとは…。

ルソーのいう「社会契約」とは、「みんながみんなの中でより自由に生きられるための契約」です。ルソーは「自由」を生きるためにはどうすればよいかという点に焦点を合わせることで、「よい社会」の本質にたどり着こうとしたのです。

繰り返しますが、これは仮説の上に仮説を重ねる思考の方法ではありません。「よい社会」とは「自由な社会」である。では、「みんながみんなの中で自由になれる社会」はいかに可能か?『社会契約論』は、読者がその根拠を一歩ずつ確かめつつ追っていくことができる、そんな論じ方で書かれているのです。

ひとりひとりが社会を作っていくことが大切なのですね。それには、教育の力が必要ですが、先生たちだって、そのような教育を受けていないのだから…なかなか難しい問題でしょう。

【すべての人を同じ人間として尊重せよ】

このたった1つのルールは、インクルーシブ教育や合理的配慮が根底になくてはならないと思います。

すべての子どもが、その子に必要な支援を受けられる保育、教育で育つ環境が保障されれば…子ども達は自らの力で【すべての人を同じ人間として尊重せよ】を実現していく力があるのではないかと思います。

子どもたちが、今、困っていることは手伝ってあげればいい。
できなくたって、大丈夫。
『社会契約』の第一歩って、こういうことなのかな?と思っています。

必要な方に届きますように。


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